約1250戸を管理するニコニコ不動産(熊本市)の若手社員が、13日午後10時ごろ、管理物件への不法侵入で逮捕された。管理物件の鍵を無断で持ち出したことが、事件の発端となった。
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無断で店舗から鍵持ち出し
社内で保管する物件のスペアキーを持ち出し、被害者宅に踏みこんだという。被害者にけがはなかった。
同社は熊本市を中心に賃貸管理、賃貸仲介を展開する地場不動産会社だ。
容疑者についてニコニコ不動産の山田高大社長は「仕事には積極的に取り組んでいた。入社して2年弱だが、加盟するフランチャイズチェーンが開催したコンテストで優秀な成績を収め表彰されたこともあった」と話し、今回の事件はまったく予見できなかったという。
被害者への今後の対応について、弁護士と相談し、事件に伴う引っ越し費用や違約金免除、迷惑料などを同社で負担し、示談する方針だ。
同社が管理を受託するオーナーや同業者に対しては、同社の役員全員で訪問や電話を行い状況の説明を進めているという。16日現在、管理離れなどの報告はないという。
入居者からは引っ越しを希望する問い合わせが1件、入居者の親から入居する住戸の鍵変更と鍵の入居者管理を希望する問い合わせが1件入っている。
同社では、管理物件のスペアキーを、店舗の施錠できる収納庫に保管していた。
鍵を収納庫から取り出す場合には上長の許可が必要だが、容疑者は無断で持ち出していた。
今回の事件について山田社長は「被害を受けた入居者には申し訳ない気持ちでいっぱいだ。弊社として誠実に対応していく。スペアキーを預かることは入居者の命を預かるということだと考えている。すぐにセキュリティーを強化し、鍵管理の体制の見直しを検討している」とコメントした。
(2023年2月27日2面に掲載)