利用者属性見据え反響獲得【特色のある部屋探しサイト・アプリ】

オークハウス,R65,エアドア,Tryell(トライエル),グッドライフ,BluAge(ブルーエイジ),ヤマダホールディングス

統計データ|2023年04月03日

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 物件の反響獲得において、大手ポータルサイトや自社サイトの利用が一般的だが、高齢者、外国人、デジタルネーティブ世代などサイト訪問者の多様化が進む。利用者を明確にした部屋探しサイトやアプリは有効な集客ツールになりそうだ。

外国人に情報提供 ユーザー数7万人

 外国人向けシェアハウスを運営するオークハウス(東京都豊島区)は、自社サイトを改修した「オークハウスポータル」を4月中旬に開設する。

 改修前は、欧米を中心とした就労や短期滞在目的で来日する外国人をメインターゲットに、自社で管理するシェアハウスやマンスリーマンションの物件情報を掲載。月間のPV(ページビュー)数は50万件で、UU(ユニークユーザー)数7万人に閲覧されている。

 今回の改修で、自社で管理する物件以外に他社が管理する賃貸物件の情報も掲載することが可能になった。5カ国語(日・英・仏・中・韓)に対応する。外国人向け賃貸住宅の集客・管理を30年間手がけてきた実績に加え、世界に5万6000人いる会員による口コミ効果などの知名度を生かしながら、海外からの集客を強化する。

オークハウス スマホでの物件探しのイメージ画像

スマホでの物件探しのイメージ(オークハウス)

 これまでは、一定期間シェアハウスに住んだ人が一般の賃貸物件への転居を希望した際や、新型コロナウイルス下で顕在化したプライベート空間を確保したいというニーズにこたえきれていなかった。また、家族で訪日する客層への物件提供にも課題があった。掲載物件の幅を広げることで顧客ニーズへの対応力を高めながら、空室対策に悩む不動産会社に、外国人入居者の集客策として活用してもらうことが狙いだ。

 物件への反響には、物件を登録した不動産会社が対応する。外国語に堪能なスタッフがいない場合は、オークハウスで反響への対応を代行することも可能。今後は、入居中に起こるトラブルの一時的な窓口になるなど、反響から入居後の対応まで代行する体制を整える予定だ。

 利用料金は、導入時に5万5000円、月額1万1000円の連動費用(いずれも税込み)と、物件の掲載数に応じて費用がかかる。

高齢者向け賃貸 50~70代が中心

 高齢者の部屋探し支援を行うR65(東京都杉並区)は、65歳以上が対象の賃貸物件を掲載する「R65不動産」を2019年より展開している。同社が提携する不動産会社が管理する物件のうち、高齢者が入居可能な物件をまとめたサイトだ。

 高齢者自身で部屋を探せるように、必要最低限の情報の表示と機能にとどめ、文字も全体的に大きめにデザインしている。利用者は、物件情報や居住希望エリアのほかに「エレベーター付き」「保証人不要」などの項目を選択し検索することができる。物件情報には不動産会社の電話番号などの連絡先が一目でわかるよう工夫が施され、そこから直接連絡する仕組みだ。

R65 物件掲載ページの画像

高齢入居者を対象にした物件掲載ページ(R65)

 利用者は50~70代が中心で、自身や親が住むための物件探しに活用されている。居住支援法人として東京都や神奈川県、広島県と提携しており、行政からの紹介で入居が決まることも多い。

 不動産会社は、毎月定額で無制限に物件を掲載することができる。入居需要が低くなりやすい駅から遠い物件や、1階の部屋であっても高齢者に関しては入居が決まるケースがあり、入居期間も一般的に6年以上と長いため、空室率の改善に寄与する。そのほかR65が提供する見守りサービスの入居者への代理店販売や、R65へ高齢者向け賃貸経営の相談をすることも可能だ。R65は23年3月末時点で41社の不動産会社と提携を行っている。

 利用料金は掲載数無制限で月額5万円。4月1日から期間限定で1年間月額1万円(いずれも税別)で提携できるキャンペーンを開始した。山本遼社長は「高齢者の見守りサービスを提供する会社が増えていく中で、管理会社に高齢者の入居を進めてもらうために今回のキャンペーンを始めた。社会問題の解決と不動産会社の利益の確保に努めていきたい」と語る。

元付け物件限定 おとりなしが魅力

 賃貸メディア運営を行うエアドア(東京都港区)は、22年2月に元付け物件のみを掲載する部屋探しサイト「airdoor(エアドア)」をリリースした。管理会社の基幹システムと連携し、元付け物件のうち入居可能な物件の情報のみを掲載することで、おとり広告のない安心感をユーザーに提供する。入居申し込みから内見予約、契約までオンラインで対応する点も特徴だ。

 23年3月13日時点で7社の管理システムと連携。物件を掲載する管理会社は70社で、物件数は140万戸となる。物件の仲介は、エアドアが提携する仲介会社が行う。ユーザーが仲介会社に支払う仲介手数料は、物件によって無料もしくは2万2000円。対応エリアは東京都・神奈川県が中心で、今後は千葉県や埼玉県まで広げる予定だ。

エアドア 物件検索画面

ユーザー用の物件検索画面(エアドア)

 ユーザーはairdoor上で自ら物件を検索し、エアドアからは物件の提案は行わない。希望する物件が見つかれば、同サイト上で内見予約もできる。内見は現地待ち合わせの形式をとり、希望があればオンライン内見にも対応。その後、入居申し込みと契約もオンラインで行える体制をとっている。

 管理会社は自社の管理物件をユーザー向けに直接掲載できるので、物件ごとの反響の多寡などもわかりやすい。反響が少ない物件は写真の点数や見栄えをよくするなど、対策が講じられるようになる点も利用するメリットだ。

掲載数約70万件 オンライン相談可

 オンライン内見システムを提供するTryell(トライエル:東京都新宿区)は21年より、部屋探しポータルサイト「オンライン内見ポータル」を提供している。同社が展開する「オンライン内見」を利用する不動産会社向けの限定サービスで、オンラインでの内見・相談、IT重要事項説明(IT重説)が可能な物件のみ掲載する点が特徴だ。

Tryell オンライン内見ポータルのイメージ画像

オンライン内見ポータルのイメージ(Tryell)

 23年2月末時点で70万件の物件情報を掲載している。遠方に住んでいて来店や現地案内が難しい入居希望者に、オンラインでの相談が可能な物件や不動産事業者を探すことができる。

 入居希望者から問い合わせがあった際には、電話番号の入力を必須とすることで反響後の連絡を取りやすくしている。Tryellの調べでは、ポータルサイト経由の問い合わせ後に電話やメールにて連絡が取れず、来店までつなげられないケースが多いことがわかった。会社によってはほかのポータルサイトに比べて約2倍連絡が取りやすくなったという事例もある。

 料金は反響課金制。同サイト経由の反響獲得1件につき5500円(税込み)となる。大住憲司社長は「強みである来店につながる反響の質の高さを今後も伸ばしていきたい。メディアとしても不動産事業を支援できる商品を提供したい」と語る。

家具・家電を設置 法人の需要見込む

 社宅のあっせん事業などを行うグッドライフ(京都市)は11年より、新品の家具・家電付きのマンション掲載サイト「KaGood(カグッド)」を展開している。提携する管理会社が一般賃貸として貸し出している部屋に新品の家具・家電を設置し、一般入居者のほか、法人の需要を取り込みやすくする。1都3県では常時約500件を掲載している。

グッドライフ KaGoodのトップページ画像

KaGoodのトップページ(グッドライフ)

 テレビや洗濯機など7点の家具・家電を設置。設置にかかる費用や管理手数料を付加した賃料で掲載する。申し込みが入った物件をグッドライフが借り上げ、通常の賃料分を管理会社に支払う仕組みだ。

 不動産会社は一般の入居希望者以外にもKaGoodを利用する約3000社の法人に対してアプローチすることができ、法人の単身赴任や出張時の部屋探しの要望に応えることで空室対策につなげられる。23年3月末時点で全国25社の不動産会社と提携しており、年間約250件の成約実績がある。

 松井大揮執行役員は「別事業で展開するマンスリーマンション事業と組み合わせ、入居者の生活事情に応じて柔軟に対応できるようにしていきたい」と語る。

若年層の利用進むアプリ

来店成約率の上昇に寄与

 ポータルサイトと自社サイトに加え、反響獲得の間口をもう一つ設けたい。そのような不動産会社の要望に応えているのが、不動産テック企業のBluAge(ブルーエイジ:東京都千代田区)が展開する部屋探しアプリ「CANARY(カナリー)」だ。

 インターネットやスマートフォンが身近な環境下で育ったデジタルネーティブ世代を対象にしており、累計ダウンロード数は23年2月末時点で260万件超。1月に実施したテレビCMの反響も多く、同月の月間ダウンロード数は17万に達した。20代から30代前半の若年層を中心にユーザー数を伸ばす。

 約400万物件を掲載しており、高い操作性や、同一物件を複数表示させないような工夫が特徴。ユーザーは希望条件を入力し、気になった物件ページを開いて基本情報を取得する。空室状況を問い合わせるボタンから氏名やメールアドレスなどを入力するだけで問い合わせが完了する。「LINE」による問い合わせにも対応する。

BluAge CANARYの画面

使いやすさにこだわった設計のCANARY

 効率を重視する若年層は、アプリ上で物件選定を済ませ、少ない店舗訪問や内見で物件を決める傾向が強い。不動産会社にとっても成約確度の高い顧客になり得ることから、来店成約率を高める狙いでCANARYを導入するケースもある。

 BluAgeは22年9月、家電量販店大手のヤマダホールディングス(群馬県高崎市)と資本業務提携を締結。CANARYで成約した入居者を対象に「ヤマダデンキ」で利用できる1万円分のクーポンを贈呈するキャンペーンを実施するなど、経済的メリットのある特典を用意してユーザーを取り込む。

(2023年4月3日8・9面に掲載)

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