賃貸経営管理の資格「CPM(米国公認不動産経営管理士)」の研修・認定を行う一般社団法人IREM JAPAN(アイレムジャパン:東京都港区)の新会長として新谷有宏氏が就任した。新谷会長は、会員同士の交流の活性化を目指す。
会員数1000人目標
CPMの資格認定 897人が所属
5月27日にトップに就いた新谷会長は「会員同士の交流を活性化させていく。そのために、会員同士がコミュニケーションを取りやすい仕組みをつくっていく」と語る。
IREM JAPANは、不動産経営管理のスキルを提供するためにアメリカで設立されたIREM(全米不動産管理協会:アメリカ・イリノイ州)の日本支部だ。賃貸不動産の経営・管理に関わる専門性を持つと認められた個人に与えられる資格であるCPMを日本に広めるため、2000年から活動を行ってきた。
IREM JAPANの会員数は897人。CPMの資格取得者は740人となっている(3月31日時点)。会員数は、毎年80人前後の入会と50人前後の退会の差し引きで、約30人ずつ増加している。入会者の属性は不動産会社の経営者がほとんどだったが、近年は賃貸物件のオーナーのほか、税理士や建築士ら士業が増加してきているという。
CPMの取得のためには、倫理観、マーケティング、投資理論といった九つの講座を19日間受講する必要がある。受講費用は総額82万4000円(税込み)。講座は講師と受講生たちの対話が中心である点がポイントだ。「講座の間受講生は常に意見を求められる。単に講師の講義を聞いているのに比べて知識の定着の効率がよく、同期の受講生たちとの絆も生まれる」
会員システム改良 支部間交流も推奨
任期中に進めていきたいという会員同士の人材交流の仕組みは、主に二つだ。一つ目は会員向けシステムの活用。現在はCPM講座の受講申し込みの機能のみとなっている同システムを、IREM JAPANの会員同士のコミュニケーションの場所として活用できるようにする。
新谷会長は「事業のことは信頼できる人にしか相談することができず、なかなか相談相手がいない場合が多い。賃貸経営の知識や倫理観を講座で学んだIREM JAPANの会員同士であれば、信頼感を確保することができる。CPMで学んだ同じ知識を持って話せるため、相談内容も伝えやすい」と語る。
二つ目は、支部間の連携強化。IREM JAPANには現在、北海道、東日本、東海、西日本、九州の五つの支部がある。CPMの講座は基本的に北海道札幌市、東京都、愛知県名古屋市、大阪市、福岡市の5カ所で行うため、受講者の同期は比較的近隣の地域の人になりがちだ。「人口や経済的な事情が似ている地域の他社の事例は非常に経営の参考になる。支部をまたいでの情報交換ができる仕組みの構築も考えていきたい」
相談相手を獲得 危機救う助言も
新谷会長が人材交流を推進するのは、自身がIREM JAPANで得た最大のメリットが、経営について相談できる社外の仲間やメンター(助言役)を見つけられたことだと考えるためだ。
新谷会長は、自身が社長を務める不動産会社、アシスト芦屋(兵庫県芦屋市)の経営危機に際して、IREM JAPANの先輩から支援を受けたという。17年ごろアシスト芦屋で、長年オーナー対応を一手に担っていた管理部のベテラン社員が退職意向を示した。オーナーの大部分を連れて行かれる可能性がある状況だったという。
その時相談に乗ってくれたのが、当時西日本支部の前支部長だったクライフ(京都市)の唐津亮社長と、当時西日本支部長だったアパルトマンエージェント(大阪府吹田市)の樋口次郎社長だった。「会社に招待して管理部の業務を見せてくれるなど、本当に親身になって助けてくれた。そのおかげもあって退職する社員と1年間の競業避止の約束を取り付けることができ、1年の間にオーナーを訪問して管理替えを1割ほどに抑えることに成功した」
唐津社長、樋口社長からバトンを受けて21年からIREM JAPANの西日本支部長を務め、24年からはIREM JAPAN本部の総務委員長も担当。そして入会から10年で会長就任が決まった。2〜3年ある会長任期中に、会員数1000人を達成することを目標とする。
(中村)
(2024年6月2日20面に掲載)





