相続の家族間協議促進に活用
JPMC(東京都千代田区)は、パートナー企業への提案ノウハウ提供を通して、家族信託の仕組みを全国の管理会社に発信していく構えだ。同社は2024年に「家族信託の相談窓口」を展開するL&F(千葉市)と提携。パートナー企業に家族信託の仕組みを周知するとともに、組成支援サービス「JPMC家族信託」を提供する。
宮﨑陽執行役員は「家族信託という仕組み自体が、まだ管理会社に浸透していない。知識やノウハウが少なく管理会社だけでは提案が難しい際に当社がサポートすることで、管理会社が家族信託の提案を行えるようにしたい」と話す。家族信託が、オーナーとの関係構築のために管理会社が提案できるメニューのひとつとなるよう、全国にサービスを展開していく。
実際にグループ会社で家族信託の組成実績が出ているのが、8000戸を管理するJPMCシンエイ(東京都立川市)だ。同社は、家族信託の提案をきっかけに相続対策についてオーナーに考えてもらうことを狙う。
4月29日時点で4件の家族信託を組成し、1件の組成申し込みを受け付けている。24年7月、オーナー向けにJPMCグループ入り後3年の報告を兼ねたセミナーを開催。そこで家族信託に関する講演を行ったところ、参加したオーナー約80人のうち9人から詳しい話が聞きたいと問い合わせがあったという。
同社のオーナーは230人ほどで、そのうち98%を地主が占める。管理物件は築40年以上のものが2割ほどで、今後物件をどうしていくかという課題を抱えるオーナーが多いという。同社の佐々木哲也社長は「オーナーの半数程度は、相続に関して積極的に家族間協議を行っているかわからない状態だ。家族信託の検討は、物件を今後どうしていくかといったことを親子と管理会社で相談するきっかけになる」と話す。
JPMC
東京都千代田区
宮﨑陽執行役員(43)
JPMCシンエイ
東京都立川市
佐々木哲也社長(62)
(2025年5月19日2面に掲載)