欧州最大の研究機関であるFraunhofer(フランフォーハー、ドイツ)が、ヨーロッパでシェアを持つ主要な太陽光パネルメーカー13社のパネルを使って行った実証実験が、波紋を広げいる。「温度50度、湿度50%、1000V加圧」の条件下で、出力を調べたところ、4社をのぞく9社のパネルで、わずか48時間のうちに出力低下が発生。なかには、2%程度の出力しか出さないパネルもあったという。以前から太陽パネル設置後、4年足らずで出力が下がってしまう事例が報告されており、この原因不明の劣化を検証するために行った実験とされている。
実験に使用されたパネルは、欧州や中国といった海外メーカーを中心とした13社。日本国内でも採用が進む海外メーカーの名前もあったが、実験結果については、社名を伏せた状態で発表されている。
出力低下について問題がなかったとされる4社については社名が公表されており、京セラ、シャープ、Q-Cells(ドイツ)、LG電産(韓国)だったという。13社の中にふくまれた国内メーカーは京セラとシャープだけで、日本製はいずれも「出力低下の問題はなし」とされた。
この結果を受け、販売会社の間でも動揺が広がっている。太陽光発電パネルの販売を行う山善(大阪府大阪市)の住建事業部マーケティング部の松田慎二氏は「日本国内でも価格が安いというだけで海外メーカーの製品が多く販売されています。太陽光発電事業は長期にわたる事業です。製品の良しあしもさることながら、システムインテグレーダーや工事発注会社についてもよく吟味する必要があるでしょう」と語った。