国土交通省では「災害時における民間賃貸住宅の活用について」の手引き書を昨年12月に発出したことを受け、関係自治体と共に首都直下地震発生時に仮設住宅を速やかに供給するための対策に乗り出した。具体的には「みなし仮設」として使用できる民間賃貸住宅のオーナー情報のデータベース化や空き物件のリストアップなどについて協議。一昨年の東日本大震災の仮設入居がスムーズに進まなかった経験から、関係都県と不動産関連団体が協定を結んで作業を進め、将来的には広域で融通し合う体制づくりを目指していく。
東日本大震災では、みなし仮設の入居戸数が全国39都道県で6万戸を超え、建設仮設の約5万戸を上回っている。被災規模が大きかった上、みなし仮設を円滑に活用するためのマニュアルが整備されていなかったため契約などに手間取った。首都直下地震では、仮設住宅の建設用地確保が困難になるため、大幅に不足する恐れがある。国交省関東地方整備局としては、災害時に国、県、政令指定市等の関係機関が連携して被災者住宅支援体制を構築することが急務だと考えている。1月には関東地方整備局と管内の1都8県(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、茨城県、栃木県、群馬県、長野県、山梨県)が「関東ブロック被災者向け住宅支援に係る連絡会」を行った。
1月の同連絡会では、「災害時における民間賃貸住宅の活用について」の説明や宮城県担当官による応急仮設住宅の整備に係る取り組みについての講演があり、今後の対策の参考とした。
今後、「みなし仮設」として借り上げ可能な物件を個々にリスト化し、あらかじめ作成する手法や、同じ物件が重複して登録されることを防止するための対策法など、事前準備の必要性について話し合っていく。
「地域によって危機感のトーンは異なります。今後、定期的に開催して情報共有を図っていきたいと思います」(国土交通省関東地方整備局建政部住宅整備課課長補佐小林宏氏)