国土交通省は、「個人住宅の賃貸流通の促進に関する検討会」にて、空き家を賃貸住宅として流通する際の指針をまとめ、骨子案を発表した。
同検討会の目的は、既存の住宅ストックを活用した賃貸流通市場の整備を図ること。空き家が増加する中、これまで事業経験のない住宅所有者や事業者でも、少ない負担で安心して個人住宅の賃貸化が行いやすくなるような、契約の指針となる契約のガイドラインの整備を行い、賃貸流通市場の活性化を図っていく。
1月30日に発表された骨子案では、空き家の賃貸流通を促進するために「賃貸借ガイドライン」、「住宅管理ガイドライン」等を示した。
「賃貸借ガイドライン」では、貸主、借主の修繕費用負担の考え方で、賃貸一般型、事業者関与型、借主負担DIY型(現状有姿の物件)、借主負担DIY型(現状より要修繕の物件)の4タイプに分類。同検討会に参加する公益財団法人日本賃貸住宅管理協会の相談員は、「このガイライン案で注目するのは、借主負担DIY型」と解説。通常、入居時や入居中の修繕については、標準契約書など一般的な賃貸借契約書では、修繕は貸主負担とし、例外としての特約で借主負担が可能としている。また借主は貸主の書面による承諾がなければ、賃貸物件の増改築、模様替えなどが禁止されている。だが、この借主負担DIY型では、発想の転換で貸主が修繕費用の負担をしない代わりに低廉な賃料で、借主が修繕、模様替えをすることとし、退去時の原状回復義務を免除する形態としている。なお「住宅管理ガイドライン」は今後の会議で詳細が詰められるようだ。
標準化に向けて進めば、今後空き家活用ビジネスとして有望だろう。
全国の空き家の総数(H20年)は約760万戸、そのうち個人住宅が約270万戸で、増加の一途。一方、質の高い既存住宅ストックを活用した賃貸流通や住み替えの促進は、居住の選択肢を広げ、住生活の向上に寄与する。
ガイドライン案は今年3月まで会議で協議され、その後、発表される見込みだ。