残業続きの低収益体質から脱却
中小・零細リフォーム会社の人材戦略では経験者採用が重視される。
だがそんな業界の常識を覆し、新卒採用に軸足を移したことで高利益体質に生まれ変わった企業がある。
原状回復工事のキャンズ(神奈川県横浜市)。
現在社員数は21人。
うち11人が新卒で採用した社員だ。
2014年度の売上高は約3億5000万円。
利益は約2000万円。
残業も最低限。
18時30分に退社できる日が増えた。
新卒社員が定着していなかった約5年前は利益100万円ほどの低収益体質だった。
「経験者を5人雇っても、数カ月以内にほとんどが辞めてしまうような状況が続いた。残業もかさんだ」と飯田龍也社長は振り返った。
最初は試行錯誤の連続だった新人育成。
「経験者と異なり、指示がうまく伝わらない。つい声を荒げてしまい、4年前雇った4人のうち2人が3カ月以内に退職した」(飯田社長)
現在在籍する新卒社員の中には卒業間近まで内定を得られず流れてきた人材も多いようだ。
「希望職種に就けずやむを得ず応募してくるケース、単位取得が伸びて就活そのもののタイミングに乗り遅れたケースがほとんど。中には不登校経験のある学生もいた」(飯田社長)
飯田社長は教育方法を180度転換した。
今では、若手がキャンズを支えている。
まず新人とのコミュニケーション方法を改めた。
「彼らと打ちとけることを優先した。塗装を一緒にしたり、話に耳を傾けたり。すると、次第に私の指示を素直に聞くようになった」(飯田社長)。
毎月給与明細の中に手紙を入れるなどマメな対応も飯田社長への信頼へつながっている。
次に、新人のやる気を引き出すために、三つのキャリアプランを提示した。
ひとつは同社の幹部候補として努めること。
もうひとつは同社の下請け企業として独立を目指すこと。
最後のひとつは職人として腕を磨き、将来的に海外法人で外国人職人の育成に励むこと。
夢を与えれば、仕事に対する姿勢も変わる。
入社数年たっても根気強く働く若者が増えた。
飯田社長が真摯に向き合うことで、離職率の高い業界特有のハードルを乗り越えることができた。
飯田社長は、「彼らはやり方を知らないだけ。教えれば真面目に動く子が多い」と話した。
若い力を生かす姿勢が業界を少しずつ変えるかもしれない。





