不動産ポータルサイト「HOME'S」を運営するネクスト(東京都中央区)は、100%子会社で家賃債務保証業を行うネクストフィナンシャルサービス(東京都千代田区)の株式をホームネット(東京都新宿区)に売却する検討を始めたことを明らかにした。
ネクストは2007年9月に日本総合信用保証から家賃債務保証事業を譲受し事業を開始。売上高は順調に拡大していたが、法令遵守を徹底した債権回収や人員増加、代理店への手数料支払い、立て替え金増加による貸倒・保証履行引当金の負担が増大し、当初予定より収益化の時期がずれ込んでいた。今年5月には債務超過の解消時期が不明確であるとして、4億円の関係会社株式評価損を計上していた。
10年3月期の業績は、売上高7億8388万円で前年同期比181・6%、1億2301万円の営業損失(前年同期から1億9598万円の縮小)。2010年3月末における契約件数は4万4307件。
黒字化に向けての取り組みが続いていたが、臨時国会で審議予定の賃借人居住安定確保法案によりさらなるコスト負担が増大すると判断。新たなシステム投資や人件費増加に加え、登録制に伴う自己資本規制の適用など、さらなる資本投下の必要性が予想された。10年3月期の決算発表直後に行った本紙の取材に対し、ネクストの井上高志社長は保証料金値上げの可能性を示唆するなど、厳しい見通しを明かしていた。