不動産・住宅情報サイト『LIFULL HOME'S』を運営するLIFULL(ライフル:東京都千代田区)は、減収減益で2020年9月期の決算を終えたことが明らかになった。新型コロナウイルスの感染拡大の影響などに加え、海外事業で、のれんの減損損失を計上したことが大きく響いた。
今期は増収増益の見通し
売上収益は前期比9.9%減の354億200万円。セグメント別では、『LIFULL HOME'S』や不動産事業者向けの業務支援サービスおよび関連事業で構成されるHOME'S関連は前期比8.5%減の271億7915万円。
新型コロナウイルスの感染拡大で客足が遠のいたことに加え、緊急事態宣言下で営業を自粛した『LIFULL HOME'S』の会員に対して、サービス停止期間中の料金を割引するなどしたため、減収となった。
主にLIFULL CONNECT(ライフルコネクト:スペイン)が運営する不動産・住宅、求人、自動車、ファッションの領域の情報サイト等の事業で構成される海外部門は15.7%減の65億7489万円だった。
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大によって、営業活動を展開している国や地域の多くで、移動制限や都市封鎖などが行われた。これにより、主要顧客である各国の不動産ポータルサイトへの訪問者数が減少し、広告出稿量が抑制されたことが減収につながった。
営業利益は、前期比40.3%減の24億9700万円だった。HOME'S関連のセグメントでは、広告宣伝費や営業費、外注費などの投資計画を見直し、コスト抑制努力を継続。セグメント利益は前期比18.1%増の39億1046万円と増益だった。一方、海外セグメントは、減収に加え、のれんの減損損失を計上したことが大きく影響し、前期比21.2%減の8億770万円となった。
今期の見通しは、売上収益を前期比8.7%増の384億7600万円、営業利益を同37.5%増の34億3400万円。増収増益を見込む理由について、不動産仲介の客足が回復基調であること、中でも単価が高い売買仲介が上向きなことなどを挙げた。担当者は「前期は控えていた投資も行いながらアフターコロナに向けた体制を整えていく」と今後について話す。
(11月23・30日1面に掲載)
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