ただ、残念ながら、則武地所のアパートの場合、同社が自己破産しているため、同社に建築を依頼したケースや同社から購入した場合の改修請求は見込めない。他の不動産会社が売主の場合には、施工不備部分の改修などを求めることはできそうだ。
高い利回りに注意周辺の競合と比較
では、新たに賃貸住宅の購入を検討している場合、どういった点に気を付ければよいのか。
さくら事務所のホームインスペクター田村啓氏は三つの点に注意すべきだという。それは、(1)利回りが異常に高い、(2)建築費が異常に安い、(3)工期が短いことだ。
(1)に関しては、周辺の競合物件と利回りを比較してみて、利回りが異常に高い場合には、建築コストを削っている可能性がある。(2)と(3)については、現場に無理をさせている可能性が高く、それが施工不備につながる。
アパートの建築を依頼する場合、無理に繁忙期に完成時期を合わせようとするとミスを招く。特に現在はウッドショックの影響で木造建築の計画や工期が大きく遅れており、今からの建築では22年の3月には間に合わない可能性もある。完成を遅らせてもよいくらいの余裕を持って計画するのがよいという。
「賃貸住宅は金融商品的に扱われる側面があるが、建物があり、住んでいる人がいるリアルなものだ。それを改めてオーナーが意識していくことが大切」(田村氏)
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