国の指導の下、則武地所が施工した木造2階建て以上で外階段があるアパート166棟の調査が行われた。そのうち少なくとも6棟で施工不備が見つかり、それ以外の物件も建物点検や入居者への通知などをするよう担当行政庁からオーナーに通知が送られている。
「則武地所に限らず、賃貸住宅は、実需向けに比べ、基礎や外壁の0.5mm以上のクラック、排水不良などの中程度の不備が見つかる確率は2~3倍以上だ」
そう話すのはさくら事務所(東京都渋谷区)の田村啓ホームインスペクターだ。オーナーにとって施工不備は人ごとではない。
同社がオーナーから依頼を受け、ホームインスペクションを実施した則武地所のアパートでは、固定の不具合で階段が落ちそうになっている、階段の手すりの高さが建築基準法より低い、など大きな施工不備が判明した案件もあった。
同社では、契約後から引き渡しまでの間にインスペクションを実施することが多いため、そういった施工不備が出てきた場合には、施工会社や売主側が改修工事を実施した上で、引き渡す流れとなる。
則武地所事件のような、すでに運営しているアパートに施工不備の可能性がある場合、オーナーがすべきことはまず二つだと田村氏は話す。