オーナーアプリなど家主との意思疎通ツールを比較 ~後編~

アーバンアセット, エコホームズ, キュービック不動産, 日本情報クリエイト

その他|2021年09月21日

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 オーナーアプリも登場し、家主向けのコミュニケーションツールはバリエーション豊かになりつつある。従来からの電話やメールに加え、「LINE」を活用している場合もある。各社、どのようにツールを使い分け、費用対効果はどうなのか。管理戸数規模別に管理会社のオーナーコミュニケーションの現場を取材した。

入居者トラブルなどもLINEで一次対応

アーバンアセット、全対応をLINEに集約 経費約5分の1に圧縮

 2306戸を管理するアーバンアセット(東京都荒川区)ではオーナーとの連絡ツールとしてLINEを活用し、従来よりも経費を約5分の1に減らすことに成功した。

 同社の商圏は日本全国。オーナーの約95%が投資家だ。現場の管理担当者は約35人。

 同社は、すべてのオーナーとLINEを利用して連絡を取っている。14年からLINEを利用。LINE公式アカウントを利用しているが、無料のメッセージ数しか使っていない。そのため、LINEでかかっているのはアカウント検索できるようにするための年間1320円のみ。利用するスマートフォンも各業務委託社員の私用のものを利用しているため、その点においても費用はかかっていない。公式アカウントに不信感を持っている約1割のオーナーに対しては山本真吾社長と他プロジェクトマネージャーのオーナーの3人でグループを作り対応している。

 収支報告書や巡回報告書などの定期的な報告に関してもすべてLINEに集約。ただし、収支報告書のみは確定申告の際に別に欲しいという希望がある一部のオーナーにのみLINEとは別にGoogleドライブで情報を共有している。請求書や見積書のやり取りも同じくLINEで行う。

 また、工事などではビフォーアフターの写真をLINEのアルバム機能を使い、物件ごとに情報を集約している。

 急な入居者からのトラブルやクレームへの対応もLINEを使う。入居者からの連絡は24時間サポートに連絡した後、オーナーに報告し、確認を取ったうえで対応する。

 同社ではLINEを連絡ツールのメーンにすることで費用だけでいうと、目安として約5分の1になったと感じている。従来郵送していた毎月の収支報告書の切手代や印刷代、人件費だけでなく、電話やファクスの数も減った。

 入居者や清掃会社などとの連絡ツールとしても利用することで、テレワークが可能になり、出社の必要がなくなり、オフィスが3分の2程度にコンパクトになった。さらに、全員で対応を共有できるため、在宅で育児などの隙間時間に働いている社員もいるという。

 同社の山本慎吾社長は「LINEは普及しており説明なく導入できる。高齢のオーナーであっても孫とのやり取りにLINEを覚えたりしていて、意外とみんな使っている。だからこそ導入しやすい」とコメントした。

アーバンアセット 山本真吾社長の写真

アーバンアセット
東京都荒川区
山本真吾社長(39)

 

 

エコホームズ、タスク管理アプリで対応忘れ防ぐ

 2500戸を管理するエコホームズ(大阪市)ではオーナーとの連絡にLINEをメーンに使用している。

エコホームズのコミュニケーションツール利用状況

 同社の商圏は大阪と兵庫。オーナーは約200人だ。現場の管理担当者は約40人で1人当たり、オーナー5人を担当する計算だ。

 LINEは11年から利用しており、現在、オーナーの7割との連絡にメーンとして使用する。

 収支報告書はセキュリティを気にするオーナーもいるため、郵送とメールが半々だが、それ以外の毎月の定期的な報告についてはLINEを活用している。書類の保存期間が限られることから巡回報告書はPDF化したものをLINEのアルバムで共有するほか、提携清掃会社から送られてきた写真も同じくアルバムに入れる。なるべくすべての連絡をLINEで完結できるようにしている。

 オーナーによっては見積書関係もLINEで送るケースが増えている。原状回復工事の見積書をPDF化したものをLINEでオーナーに送ったり、クラウドサービスの「Dropbox」(ドロップボックス)にアップロードし、オーナーにその旨をLINEで連絡している。

 急な入居者からのトラブルやクレームに関わることもLINEがメーンだが、連絡がつきにくいオーナーに対しては電話するケースもある。

 同社ではLINEの公式アカウントは使っておらず、各オーナーでグループを作り、そこで管理担当社員と連絡を取り合う。大野勲社長は「オーナーごとにグループに参加している社員は違うが、私はすべてのグループに参加している。対応忘れを防ぐためにタスク管理アプリ「Trello(トレロ)」を活用している」と話す。

 LINEの公式アカウントを利用していないため、費用はかかっていない。通信費は格安スマホの「ワイモバイル」を利用しており、月に1台4000円程度だ。

 同社では以前はメールを利用していたが、受信件数が多く未読メールに埋もれてしまい管理に苦労していた。LINEを導入してからはオーナー対応の共有がしやくすなり、動画や写真を使ったやり取りも円滑になった。メールと違って格式ばった文章が不要なので、連絡の負担が軽減されたり、見積もりの承認が早くなったりもしている。

エコホームズ 大野勲社長の写真

エコホームズ
大阪市
大野勲社長(45)

 

 

キュービック不動産、かけ放題の電話中心

格安スマホ活用

 1700戸を管理するキュービック不動産(北海道旭川市)では、オーナーとの連絡に電話に加え、LINEも積極的に活用する。

キュービック不動産のコミュニケーションツール利用状況

 同社の商圏は旭川市を中心に60km圏内でオーナー数は110人。現場の管理担当者は6人で1人当たり、オーナー約40人を担当する計算だ。

 オーナーとの連絡は電話が中心だ。オーナーの3~4割はLINEも利用する。

 電話は社用携帯でかけ放題プランを利用しているため、1台あたり月額1000~2000円程度。一方、LINEは公式アカウントを設けていないので費用はかからないが、社用携帯が従来型携帯電話(ガラケー)であるため、社員の私用アカウントを利用しているのが現状だ。

 5月から、日本情報クリエイト(宮崎県都城市)が提供する「くらさぽコネクトオーナーアプリ(以下、くらさぽ)」を導入した。ただし、現時点でオーナーの利用者は数名程度に留まる。全オーナーのIDは発行済みで、利用料金は毎月3万円。LINEで同程度のことができるため、導入が進んでいない。また、社用携帯がスマートフォンではなく、同アプリを利用する際にパソコンを利用する必要がある点も、社内外ともにアプリの活用が進まない一因だ。

 くらさぽは、同社が利用する賃貸管理ソフト「賃貸革命」のシステムと情報連携し、巡回報告書を送れるということもあり、LINEの発展形として導入を決めた。しかし、収支報告書や巡回報告書などの毎月の定期的な報告書は郵送にて送っており、まだアプリの強みを生かせていない。

 「LINEより情報セキュリティが高く、社員全員が確認できるアプリの導入を今後は進めていく。一方で緊急性が高い連絡に関しては電話の利用が続くだろう。導入を進めるために、社内でのアプリの勉強や社用スマートフォンの導入を検討中。2年以内にはオーナーの半数での導入を目指す」(池田圭治社長)

キュービック不動産 池田圭治社長の写真

キュービック不動産
北海道旭川市
池田圭治社長(38)

 

(9月20日4面・5面に掲載)

『オーナーアプリなど家主との意思疎通ツールを比較 ~前編~』

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