三井不動産グループが対中国ビジネスを本格的に展開している。三井不動産販売(東京都新宿区)は1月25日、北京最大手の不動産仲介会社・北京鏈家房地産経紀有限公司(中国・北京)および日中で展開する商社の大河通商(東京都千代田区)の3社で業務提携を結んだ。中国人富裕層に日本の不動産を紹介する不動産流通事業を本格的に開始する。
北京鏈家房地産経紀および大河通商を通じて中国本土に在住する日本の不動産の購入を希望する富裕層の紹介を受ける。三井不動産販売では、日本事務所での中国人スタッフの採用、現地の社員の派遣、中国語のホームページの開設などを予定している。同社は昨年10月、リアルプラン営業部に国際事業グループを新設。現在、中国語を話すスタッフが1人いる。今期中にさらに1人から2人ほど中国人スタッフの採用を予定している。
先日上海で開催された不動産フェアに出展した際、日本の不動産の需要を感じたという。中国人富裕層には、実需向けの物件のほか、投資用の収益物件も提案していく。
同じく25日に、三井不動産レジデンシャル(東京都中央区)とHSBCプレミアが日本国内非居住の外国人が日本の住宅用不動産を購入する際の顧客紹介について業務提携したと発表した。三井不動産レジデンシャルが分譲する新築マンションを購入する外国人向けのローンを提供する。居住地域は台湾、香港、シンガポール、オーストラリアなどで、中国本土の居住者は含まれない。
三井不動産レジデンシャルの新築マンションの外国籍の購入者は年間「10件程度」(三井不動産広報)とそれほど多くはないが、関心の高まりを受けてローンの対応を開始した。借り入れの上限額は5億円、評価額の6割までを貸し出すという。
三井不動産グループでは東アジアを戦略エリアに位置付けており、住宅販売のほか、中国本土での開発も推進している。今年春には浙江省寧波市にアウトレットモールが開業する予定。