【賃貸管理会社の経営分析 ~受託営業編~】オーナー訪問で関係性構築、リピーターが7割

アンサー倶楽部,北九州アンサー相続サポートセンター,ハウス‐弐拾壱

管理・仲介業|2022年08月31日

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 管理会社にとって、いかに管理戸数を増やすかは悩みの種だろう。本企画では各社の受託営業の施策について紹介していく。今回はオーナー訪問と「オーナー通信」に力を入れるアンサー倶楽部(福岡県北九州市)と、オーナーとの接触を重視するハウス‐弐拾壱(栃木県足利市)を取り上げる。

アンサー倶楽部、既存オーナー経由で受託

相続関連の情報発信に注力

 管理戸数5132戸のアンサー倶楽部(福岡県北九州市)は、既存オーナーからの紹介や追加受託で管理戸数を伸ばし、2021年度は892戸の純増となった。

アンサー倶楽部本社

管理拠点でもある、アンサー倶楽部本社

 管理物件の主なエリアは北九州市内。管理を受託するオーナーは約600人。属性は、投資家系4割、地主系3割、法人3割ほどとなっている。

 21年度に新規で管理受託した約1050戸のうち、既存オーナーからの紹介と追加受託が約7割、自社ホームページや電話での問い合わせから管理受託につながったケースが約2割、地域企業とのつながりから受託に至ったケースが約1割だ。

 受託営業専門の担当者は置いておらず、オーナー担当業務を行う管理担当者が、その都度説明しながら受託営業を行っている。

アンサー倶楽部本社data

 7割を占める既存オーナー経由の受託については、オーナー訪問とオーナー通信がカギだ。

 管理担当者が月に1度を目安としてオーナー訪問を実施する。その際に直近1カ月の入居状況やトラブル、空室に対する問い合わせ状況をレポートを見せながら報告する。

 直接会いに行くことで他社担当よりもオーナーとの関係性が構築できると同社は分析。関係性が構築された後、空室の悩みがあるオーナーが入居率の高い同社に管理の依頼をすることが多いという。

 また、オーナー通信からの反響も効果を上げる。

 同社は北九州アンサー相続サポートセンター(同)を運営し、相続関連情報の発信と相談受け付けに力を入れている。

 オーナー通信では相続対策などの賃貸経営に役立つ情報や、同社売買部門からの収益物件の紹介、セミナーの開催予定などを掲載し月に1度、既存オーナー宛に郵送している。

 内容に関する問い合わせが、年に30件程度あり、そこから管理受託や相続問題の相談に至るケースがある。

 リーシングなどで付き合いのある自主管理オーナー向けにも、3カ月に1度オーナー通信を郵送。年に30戸の新規管理受託に至っている。

 賃貸管理課の山本健斗係長は「22年1月に東京証券取引所のプロ投資家向け市場『TOKYO PRO Market(とうきょうプロマーケット)』に株式上場し、ネームバリューが上がったと感じている。今後も福岡県を中心に管理戸数を伸ばしていく」と話した。

ハウス‐弐拾壱、リピーターで269戸増

連絡頻度高め信頼獲得

 管理戸数3278戸のハウス‐弐拾壱(栃木県足利市)は、21年4月〜22年3月末の1年間で269戸の純増となった。リピート受託を中心に管理を獲得した。

ハウス‐弐拾壱の主要店舗である足利店

ハウス‐弐拾壱の主要店舗である足利店

 栃木県足利市や群馬県太田市など、中心部から離れた郊外エリアを中心に事業を展開している同社では、競合が少ないため、管理替えが少なく、リピート受託につながりやすいという。

 全従業員数は28人。そのうち管理受託と管理の実務を兼任で担当するのは4人だ。5人の事務職員も管理の実務に関するサポートを行っている。

 オーナー担当制を採用し、担当者のうち管理責任者が受託オーナーの40%、そのほかの非管理職社員3人がそれぞれ20%ほどを担当している。オーナーの所有物件数により担当戸数にはばらつきがある。

 既存オーナー数は約220人で、投資家系、地主系、法人がそれぞれ約3割ずつだという。新規受託の6〜7割を占めるのが、既存オーナーからのリピート受託だ。

ハウス‐弐拾壱data

 投資家系と法人系のオーナーが新規で物件を購入した場合に、同社に管理の依頼が来るという。同オーナーらからの受託が半数以上を占めており、新規物件購入の際の同社の受託率はほぼ100%。

 エリアの賃貸マーケットについての知識を持つ競合他社がいないことで、既存オーナーからの新規受託につながりやすい。

 加えて、オーナーとの接触回数を増やし、距離感を縮めている点もリピート獲得の要因に挙げられるという。

 主な連絡手段は電話で、基本的に接触頻度は月1回。収支報告に関する連絡を必須とする。そのほかメンテナンスや修繕が必要な箇所の報告は都度行うことで、自然な流れで連絡回数を増やしている。多い場合には、週に2〜3回電話することもあるという。

 また、連絡時には空室状況をあらかじめ調べておき、必ず答えられるように準備するという工夫をすることで、信頼の獲得につなげている。

 阿蔵弘幸取締役は「新規物件購入が見込める投資家系オーナーに対する連絡頻度を高めることで信頼を得ることがリピート受託につながり、管理戸数増加に寄与している」と話す。

(2022年8月29日5面に掲載)

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