根拠ある試算で提案力強化【不動産価値査定サービス】

リッチロード,リーウェイズ,スマサテ,ソニーグループ,SRE(エスアールイー)ホールディングス

商品|2023年03月20日

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 不動産の賃料や売却価格の査定に、AI(人工知能)を活用したデジタルツールが利用される場面が増えてきた。過去の取引実績や当該エリアの人口動態、相場観などを加味して算出するため、属人的かつ資料作成に時間を要する査定業務に変化をもたらしている。

収支状況も確認 投資計画を支援

 投資用不動産の売買や管理を行うリッチロード(東京都新宿区)は、2022年7月から不動産投資シミュレーションツール「リッチAI(アイ)」を展開している。

リッチAI表示画面

新機能により販売中の物件もリッチAIの中で表示する(リッチロード)

 投資家に向け、資産形成や節税対策など、目的に沿った不動産投資をサポートするサービスだ。査定や収支シミュレーションには、不動産と技術を融合させて業務の効率化を図り、新たなビジネスを生み出す不動産テックサービスを手がけるリーウェイズ(東京都渋谷区)が開発する「Gate.(ゲイト)」を活用。Gate.は不動産の資産価値を分析するAIクラウドサービスである。

 リッチAIは物件情報や運用状況を入力し、投資に対する適性や30年間分の収支シミュレーションを算出する。投資家一人一人に適した不動産投資を実現するツールとして開発。不動産投資に関する専門用語を平易な言葉に置き換え、投資経験が浅い初心者にも活用しやすいよう工夫した。同社で投資用物件を購入したオーナーが、リッチAIを利用して投資方法を見直し、2棟目を追加購入した事例がある。

 23年2月6日には、同社が販売する物件を検索・表示できる機能が追加された。これまで同サービスでは所有物件しか収益シミュレーションに対応できなかったが、同社が販売する物件でも可能になった。ソリューション事業部の池田珠実係長は「21年ごろから『着せ替え人形のように物件を組み替え、収支を確認できると面白いのでは』と社内で話していた。構想がようやく形になった」と語る。

空室リスク、賃料下落を予測

管理物件の出口提案にも活用

 リーウェイズが提供するGate.は、独自に収集した約2億3000万件の不動産データを基に、投資用不動産の価格査定にとどまらず将来の空室リスクや賃料下落、物件保有期間の利回りを分析できるクラウドサービスだ。AIを活用し、将来的な収益性を予測する投資シミュレーション、市場分析、洪水や地震などの災害リスク情報なども提供する。23年2月末時点で不動産会社と金融機関約300社(無料プランを含む)が利用している。

収支シミュレーション画面

運営・売却時の収支シミュレーションも可能だ

 不動産仲介会社や販売事業者では、根拠のある価格提案のほか、営業スタッフの提案内容の均質化を図るために導入するケースが多い。提案資料も1件あたり5分程度で作成できるため、営業活動への注力や残業代の削減に寄与している。賃貸管理会社の中には、50年先の収益シミュレーションを行い、管理物件の売却案件を増やした会社もある。

 3月10日には、Gate.の契約企業を対象に「スマートAI査定」の提供を開始した。同サービスは物件情報を入力するだけで査定価格を算出する。企業はメールや自社サイトへのボタン設置などで顧客にスマートAI査定を案内し、査定後の具体的な売却案件の相談や問い合わせにつなげる動線をつくることができる。

1800社が導入 AIで誤差1.4%

 スマサテ(東京都品川区)が提供するAI家賃査定サービス「スマサテ」は、19年4月にサービスを開始。23年2月末時点で、1800社で利用されている。

 物件の構造などを入力すると、近隣物件のデータを基に事例査定賃料が表示される。物件のグレードによる賃料幅や、付加される設備などの目安単価も表示され、査定対象物件の賃料補正や物件名のみの検索も可能だ。

 近隣の物件一覧表や分布図、過去の賃料相場の推移も表示され、数分で人口統計データなどを含んだ資料を「エクセル」形式や、簡易的なPDF形式のレポートでダウンロードできる。

周辺物件の情報表示画面

比較する周辺物件の情報も表示される(スマサテ)

 利用企業の約50%は不動産管理会社となっている。管理戸数が10万戸以上の会社や、全国エリアに展開する会社のほか、デベロッパーやファンド、リート、買い取り再販事業者などの利用も増えており、地主への土地活用の提案や売買取引の際にも活用されている。

 スマサテが利用される理由の一つは、AIを活用し誤差率が1.4%と世界最高水準である点だ。サービス開始から約4年で、収集した延べ20億件に及ぶ物件データを基に高精度の査定を可能にしている。5月ごろには、PDF形式の詳細なレポートが各社オリジナルの査定書として出力できるようになる予定だ。

 導入費用は無料。利用料金は、月5回までの無料プラン(レポート機能なし)と、利用回数に応じた五つの有料プラン(最低利用料金は月額税込み2万1780円から)となる。

5分で資料を作成 地図や相場も表示

 ソニーグループ(東京都港区)で不動産テック事業を展開するSRE(エスアールイー)ホールディングス(同)は、クラウド経由でソフトウェアを提供するSaaS(サース)型の不動産価格査定サービス「AI(エーアイ)査定」を19年より展開している。

AI査定画面

査定書には地図や周辺物件も盛り込める(SREホールディングス)

 住所やマンション名から該当物件を検索して売買価格を自動で算出する。全国で利用可能で、分譲マンションや土地、戸建て物件に対応。特徴は、約5分で売買価格の査定から査定書の作成までできる点だ。売買価格だけでなく、物件の所在地を記した地図や近辺エリアの価格相場なども査定書に盛り込み、査定結果に説得力を持たせる。査定書のデザインは自由にカスタマイズ可能だ。

 物件情報は同社と提携する不動産会社や、独自ルートから収集。毎週機械学習モデルを更新し、AIの査定精度を高める。月額利用料金は1万6500円(税込み)から。長澤孝一郎プロダクトマーケティングマネージャーは「業務時間を短縮できる。今後も業務効率化に向けサービスを展開する」と語る。

(2023年3月20日8面に掲載)

おすすめ記事▶『リーウェイズ、AIによる不動産査定』

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