事務所の要件【宅建試験解説】

【連載】2023年宅建試験まるかわり解説

管理・仲介業|2023年05月26日

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Q.本店の宅建取引士は支店でも専任可能?

A.専任はできません。

宅地建物取引事業者事務所に必須の備え

 宅地建物取引事業者(宅建事業者)は、その事務所ごとに、①標識と②報酬額を掲示し、③従業者名簿と④業務に関する帳簿を備え付け、⑤成年者である専任の宅地建物取引士(宅建士)を置かなければいけません。

標識の具体的掲示取り扱いの義務付け

 免許証ではなく標識を掲示しなければなりません。具体的には、公衆の見やすい場所に一定の事項(免許証番号・有効期間・商号または名称・代表者氏名・専任の宅建士の氏名・主たる事務所の所在地)が記載された標識(宅地建物取引業者票)を掲げなければなりません。

 なお、旧姓が併記された免許証の交付を受けた日以降は、旧姓併記または旧姓使用を希望する者については、代表者氏名に旧姓を併記し、専任の宅建士の氏名については、変更届け出書が受理された日以降は、旧姓を併記または旧姓を使用することができます。

 ただし、標識に記載される代表者と専任の宅建士が同一人物の場合、いずれも旧姓併記または現姓使用として表記を統一するか、代表者の氏名を旧姓併記とし、専任の宅建士を旧姓使用または現姓使用としなければなりません。

従業者名簿の公開 要求に応じて提示

 公開する必要まではありませんが、関係者から要求されれば提示する義務があります。

 なお、宅建事業者は、一定の事項を記載した従業者名簿をその事務所ごとに備えなければなりません。

 本社だけに一括して保管することは違法になります。その保存期間は最終の記載をした日から10年間です。

 従業者名簿には、従業者の氏名、従業者証明書番号、生年月日、主たる職務内容、宅建士であるか否かの別、その事務所の従業者になった年月日、その事務所の従業者でなくなったときはその年月日を記載しなければなりません。

 もちろん、現在はパソコンのデータで保存するのが普通なので、「エクセル」などのデータで保存することも可能です。

成年者の専任宅建士 設置を義務とする

 宅建事業者は、従業者らの数の5分の1以上となる数の成年者である専任の宅建士を置かなければなりません。この人数の条件を満たさない事務所は開設することができません。

 なお、「従業者ら」には、原則として、代表者、役員(非常勤の役員を除く)およびすべての従業員が含まれ、受付、秘書、運転手などの業務に従事する者も対象となります。しかし、宅地建物の取引に直接的な関係が乏しい業務に臨時に従事する者は含まれません。

 また、「専任」とは、原則として、宅建事業者の通常の勤務時間を勤務することをいいますが、ITの活用などにより適切な業務ができる体制を確保したうえで、事務所以外において通常の勤務時間に勤務する場合(テレワークなど)でも「専任」の要件を満たします。

 条件を満たさなくなった場合は2週間以内に必要な措置を取らなければなりません。新たに専任の宅建士を設置した場合は、免許権者へ届け出なければなりません。

専任の必要な要件 緩和される可能性

 現在、国土交通省では、「アナログ規制」にかかる宅地建物取引業法の見直しが行われています。その中で、常駐・専任・宅建士の専任設置義務に関し、近年のIT技術の進展などを踏まえ、専任の宅建士がほかの事務所などの業務を行うことができる場合について検討がされています。2025年6月までに実施が予定されています。

過去問にチャレンジ

【問題】宅地建物取引業法第3条第1項に規定する事務所(以下、事務所)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。(2022年度問26)
1 事務所とは、契約締結権限を有する者を置き、継続的に業務を行うことができる施設を有する場所を指すものであるが、商業登記簿に登載されていない営業所または支店は事務所には該当しない。
2 宅地建物取引業を営まず、ほかの兼業業務のみを営んでいる支店は、事務所には該当しない。
3 宅地建物取引業者は、主たる事務所については、免許証、標識および国土交通大臣が定めた報酬の額を掲げ、従業者名簿および帳簿を備え付ける義務を負う。
4 宅地建物取引業者は、その事務所ごとに一定の数の成年者である専任の宅地建物取引士を置かなければならないが、既存の事務所がこれを満たさなくなった場合は、30日以内に必要な措置を取らなければならない。

正解:2
1× 営業所は商業登記簿に登載されていなくても事務所に該当します。
2〇 宅建事業を行わずほかの兼業業務のみを行っている支店は事務所にあたりません。
3× 主たる事務所に限定されていません。また、免許証の掲示義務はありません。
4× 2週間以内に設置要件に適合させるために必要な措置を取らなければなりません(宅建業法31条の3)。30日以内ではありません。

【著者プロフィール】

Kenビジネススクール 田中嵩二社長の写真

Kenビジネススクール
田中嵩二社長

 

 

中央大学大学院法学研究科博士前期課程修了。2004年に不動産取引の専門教育機関としてKenビジネススクール設立。同社は、国土交通大臣の登録を受け「登録講習」「登録実務講習」を実施している。現在は、オールアバウト宅建試験専門ガイドとしても活躍中。「これで合格宅建士・賃管士シリーズ」(Ken不動産研究)など多くの書籍を執筆。

(2023年5月22日16面に掲載)

おすすめ記事▶『宅地造成等規制法【宅建試験解説】』

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