子育て世帯増で地域存続へ
戸山まちづくり委員会定住促進部会(広島市)は、人口減少の進む戸山地区で子育て世帯の移住促進に力を入れる。
空き家・空き土地を紹介した移住者は、委員会加入前の移住支援活動も含めると100人に到達した。
定住促進部会は戸山地区で移住支援を行っていたメンバーに声がかかり、2018年に設立された。戸山地区の住民を中心とした16人で活動を行う。
31組が紹介待ち
移住相談に応じるほか、空き家の家主と移住希望者のマッチングも行う。これまでに26世帯の移住、4店舗の出店につながっている。移住した世帯は子育て世帯が9割以上を占め、移住後に出生などで9人の人口増加もあった。23年度の人口減少幅は過去30年で最少の2人となり、着実に成果を上げている。
現在、31組の移住希望者が空き家の紹介を待つ中、それぞれに適した空き家や空き地を紹介できるよう、情報は非公開とする。複数人で暮らせる広さがあり通学に適した立地の空き家であれば、子育て世帯へ優先的に情報を提供する方針だ。
中山間地域ならではの生活は、移住後にギャップを感じやすい部分もある。例えば東側の山沿いでは、山に遮られ朝日が差し込む時間帯が遅く、夕暮れも遅くなる場合がある。思うような日当たりが得られないケースも発生するため注意が必要だ。このほか、雪の時期の車にはスタッドレスタイヤが必須になるなど、同地域ならではの住環境について事前に説明。移住後のミスマッチを防ぐようにしているという。
学生と手引書作成
戸山地区での暮らしを伝えやすくするため、移住者向けの手引書の作成にも取り組む。人口減少など、地域社会が直面する課題を学ぶ広島市立大学の学生との協同事業で、11月中の完成を目指す。手引書があれば移住後の生活をイメージしやすくなるほか、相談時の伝え漏れを防止する効果も見込める。子育て世帯では、夫婦のどちらか一方が相談に来るケースもあるため、参加者がパートナーへ説明する際にも活用が可能だ。
学生との協同事業は、広島市立大学が募集する地域共創プロジェクトに同部会が応募したことで、声がかかった。
今後も、年間3~5組の子育て世帯の移住を目指す。部会長の小西晃紘氏は「移住者が郷土愛を持てるよう、地域交流も増やしていきたい。転出した住民が積極的にUターンで戻ってきたり、地域住民が自発的に移住を紹介できるようになれば戸山地区の存続につながる」と話す。
(2024年11月11日18面に掲載)