企業研究vol.034 曽根恵子 社長

夢相続

インタビュー|2019年10月25日

  • twitter

夢相続 曽根恵子社長

 相続の相談先といえば、税理士や弁護士などの士業が頭に浮かぶ人が多いだろう。そんな中、「不動産を知っている者こそが有効な相続対策を提案できる」という考えのもと、2001年に設立したのが、夢相続(東京都中央区)だ。今や相続の専門家としてテレビや雑誌などのマスメディアにひっぱりだこの曽根恵子社長に同社の事業展開について聞いた。

相続専門会社として1万4600件超の相談に対応

事業のきっかけはオーナーへの提案

――今でこそ、相続ビジネスといわれるほど、相続対策を提案する会社は増えていますが、御社は相続専門会社として18年を迎えますね。これまで何件の相談を受けてきたのですか。

 これまでの相続相談件数は1万4600件を超えています。生前対策の財産の平均額は3億2738万円。相続後の財産の平均額は6億3969万円です。

――それほど多くの相談を受けてきた御社は、もともとは賃貸管理会社として相続提案をしてきたそうですね。最初のきっかけは何ですか。

 賃貸管理会社として地主さんたちと関わっていく中で、相続税の延納で苦労されている方を多く見てきました。相続に関わるきっかけは1992年の地主さんの相続でした。もともと古い貸家を持っていた地主さんでしたが、収益性が悪く困っていらっしゃいました。そこで貸家の一部をアパートに建て替えることを提案し、収益性が改善されました。ところが、しばらくして地主さんは心臓発作で急逝。その時に収益性目的で建てたアパートでしたが、相続税を節税することができたのです。さらに94年に亡くなられた地主さんの相続対策は大きな経験となりました。その地主さんは半年前に相談に来られて生前対策は何もできませんでした。当初税理士から言われた相続税は12億5000万円。資産の大半が不動産だったことから、主に2000坪の自宅の土地の評価を下げることなどを提案した結果、8億円の税額となり、4億円以上大幅に節税することができました。

――それはすごいですね。

 こうした経験から、地主さんの相続には不動産知識が必要だとわかったのです。税理士は税額の計算はできますが、節税や不動産活用のアドバイスをできる人はあまりいらっしゃいません。

――税理士や弁護士とどのように連携を取っているのですか。

 相続は士業の仕事という認識を持たれる人が多い中、不動産会社がイニシアチブをとって提案できる方法は、自分のお客様を獲得することがポイントになってきます。まず当社が窓口となって話を聞き、その案件ごとに最適な相続対策をプランニングします。その後、提携している税理士、弁護士等の士業に依頼します。

――曽根社長は相続に関する書籍も多く出されています。これまで何冊出版されたのですか。

 監修した書籍も含めて56冊です。累計で46万部超を発行してきました。年に1、2冊のペースで出版しています。最初に出版したのは99年に出版した『不動産コンサルティングが明かす相続対策土地の評価でこんなに税金が減らせる』でした。93年に不動産コンサルマスターの登録がスタートし、相続対策部門でお手伝いをしてきました。亡くなってからでも相続税は安くなることをアドバイスし、十数事例ほど対策事例ができたので本を出そうと思ったのです。

今や56冊発行している書籍の第1号

今や56冊発行している書籍の第1号

――今でこそ相続対策に関する書籍は珍しくはないですが、当時は一般の人向けはなかったと思います。

 書籍の出版をきっかけに相談が増えました。そこで、不動産会社だけでなく相続相談の窓口が必要と思い、2000年にNPO資産相続総合相談センターを設立しました。書籍を読んで相談に来られる人は全国からいらっしゃいます。そこで03年に事務所を東京駅近くに移転し、相談だけでなく実務をサポートする相続対策専門の会社である資産相談センターを設立。その後、相続相談センターと変更し08年に夢相続に名称変更をしています。

――今後はどのような展開を考えていますか。

 当社は全国各地に出張して仕事をしています。今後は全国にパートナーのネットワークをつくり地元で相続対策のサポートをして頂きたいと思っています。その受け皿となる組織として、10月に「一般社団法人相続実務協会」を設立しました。当社は東京で拠点を構えていますが、全国各地に当社と同じ志と知識を持って相続実務ができる人材養成をして、実務を担ってほしいと思っています。賃貸管理会社の方にとって相続対策の提案ができることは強みとなります。今後は全国の不動産会社とも連携しながら展開していきたいと考えています。

講演活動はこれまで120回超え

講演活動はこれまで120回超え

新聞・雑誌の取材協力520回超

 曽根恵子社長は出版した書籍の数56冊と多いが、新聞・雑誌、テレビ・ラジオなどのメディアへの取材協力も数多くこなしている。テレビ・ラジオの出演回数は118回で、NHKの「あさいち」をはじめ民放の情報番組にも出演してきた。新聞・雑誌の取材協力にいたっては524回(9月25日時点)。朝日新聞や読売新聞などの全国紙から、ダイヤモンド、プレジデントなどのビジネス誌まで幅広く掲載されてきた。

 その取材に対応してきたことが少しでも来社された人にわかるように相談室にはこれまで取材してきた雑誌がずらりと並ぶスペースがある。数も随時更新。今後相続は注目されるだけあり、数の更新頻度は増えそうだ。

取材記事掲載も多数。相談室に置いている

取材記事掲載も多数。相談室に置いている

会社概要

社名: 夢相続

住所: 東京都中央区八重洲1-8-17 新槇町ビル5階

設立: 2001年12月20日

資本金: 7000万円

従業員数: 14人

業務内容: 相続コーディネート業、資産に関する提案業、 不動産コンサルタント業、不動産投資顧問業、 土地有効利用に関する企画・調査・立案業、 不動産の売買・賃貸・仲介業、不動産の管理業、 損害保険・生命保険の代理店業

会社メモ

税理士、弁護士など相続の知識・経験をもつ専門家たちを集め、チームの連携により相続を成功に導く。そのチームの中心的役割を担う『相続実務士』として展開。「相続人の幸せ」というひとつの共通認識のもと、相続実務士が各専門家と密なるコミュニケーションを図り、相続対策を提案する。

社長メモ

曽根恵子社長。1956年京都府生まれ。京都府立大学女子短期大学部卒業、PHP研究所勤務。87年不動産会社設立、相続コーディネート業務を開始。相続相談に対処するため、2000年NPO法人設立、内閣府認証を取得。01年に相続コーディネートを業務とする法人を設立。03年に東京中央区八重洲に移転し、08年に社名を(株)夢相続に変更。

検索

アクセスランキング

  1. 省エネ性能ラベル表示、開始

    国土交通省,リクルート,アットホーム,LIFULL(ライフル),大東建託グループ,積水ハウスグループ

  2. コロンビア・ワークス、「総資産1兆円へ」開発を加速【上場インタビュー】

    コロンビア・ワークス

  3. 明和地所、創業45年 浦安市で3000戸管理【新社長インタビュー】

    明和地所

  4. パナソニック、冷凍・冷蔵品用の宅配ボックス

    パナソニック

  5. 大手不動産会社で入社式

    レオパレス21,大東建託グループ,ハウスメイトパートナーズ,APAMAN(アパマン),常口アトム,武蔵コーポレーション,TAKUTO(タクト),三好不動産

電子版のコンテンツ

サービス

発行物&メディア

  • 賃貸不動産業界の専門紙&ニュースポータル

  • 不動産所有者の経営に役立つ月刊専門誌

  • 家主と賃貸不動産業界のためのセミナー&展示会

  • 賃貸経営に役立つ商材紹介とライブインタビュー

  • 賃貸管理会社が家主に配る、コミュニケーション月刊紙

  • 賃貸不動産市場を数字で読み解く、データ&解説集

  • RSS
  • twitter

ページトッップ