所有物件や管理物件の清掃や草刈りなどで、作業員の確保に困ったことはないだろうか。Rsmile(アールスマイル:東京都千代田区)が開発・提供する「COSOJI(コソージ)」は、管理者と物件の近所に住み作業をするクルーと呼ばれるスタッフをマッチングし、作業を依頼できる不動産管理のシェアリングプラットフォーム。2020年12月のサービス開始以来、着実に成長し、現在は全国1万5000カ所が登録されている。今回は、同社を率いる富治林希宇社長に同サービスにかける思いや今後の展望などを聞いた。
外注業務、1万5000カ所登録
目の前の課題に着目 管理業の常識を変える
―富治林社長は不動産業界で多彩なキャリアを積んだうえで会社を設立されました。どんな思いがあって起業したのでしょうか。
まずは会社を起こしたいという気持ちより、自分自身が不動産業界に身を置いてきた中で感じた課題を解決したいという思いのほうが先にありました。もうけだけを考えれば、一度に大きな金額が動く売買や仲介のほうが魅力的です。そうではなく、建物を建築してから解体するまでの間に最も困り事が多い、管理の課題を解決したいと。その方法が起業だったという感じです。
―COSOJIの開発は、よりスムーズな物件管理の手助けをしたいという思いが起点ということですね。
同サービスは、アパート・マンションでも、拭き・掃き掃除や目視点検、草刈りなどの軽作業から法定点検のような専門業務まで40種以上の業務を1回2000円から依頼できます。おかげさまで全国で累計1万5000カ所で登録があり、毎月定期の作業依頼を頂ける案件も増えました。ユーザーからの共感を得ないとサービスが広がらない業界なので、その点では、口コミを中心にした利用者拡大が図れていると感じています。もちろん当社が主体で行っている事業ですが、オーナー、管理会社、作業をするクルーも交えて、みんなで支え合って成り立っているサービスになっています。
―2万人以上の登録クルーは、どのような人たちで構成されているのでしょうか。
巡回点検や草刈りなどは主に個人、ルームクリーニングや消防点検などはプロの人が登録しています。いずれも登録時にスキルとバックグラウンドをしっかりと確認したうえで当社のスタッフが面談を行い、通過した人のみをマッチングしています。
―不動産を管理する側からすると、サービスの品質が気になるところですが、そのあたりはどのように担保していますか。
まずはマッチング後も社内外から評価されることで、品質を維持する仕組みがあります。一方で、クルー個人については、スキルとマインド、両方の向上が大切だと思っています。スキルについては、使ってみて便利だった道具や優れた作業例をプラットフォーム上に公開し、情報共有できる仕組みを設けています。細かな作業ほど標準化できるのにできていない業務が多いので、ほかのクルーの情報が得られることでスキルアップにつなげられると考えています。マインドについては、内部のスタッフが作業をするクルーに積極的に感謝の声かけをすることなどで、気持ちよく意欲的に関わってもらえるよう工夫しています。
動画で作業時のポイントが確認できる
―個人で働いている人にとっては、クルー同士の横の連携で情報共有があるというのは助かりますね。
そうですね。クルー同士の連携という点では、最近はエリア単位での「クルー感謝祭」を月に一度程度のペースで開催しており、貴重な情報共有の場になっています。前回、大阪で開催した際には20人以上の人が集まってくれました。大勢の人が集まるというのはまだ難しい状況ではあります。いずれは全国規模の感謝祭を開きたいです。なお、当社の利益率を20%と設定しており、作業をするクルーが多くの収入を得られることも、高いモチベーションを維持してもらううえで、一つのポイントになっていると思います。
管理業と地域を連携〝先手管理〟の産業へ
―富治林社長の思う、御社の組織としての強みはどんなところでしょうか。
一つ目は、不動産投資の領域で実績を上げてきた共同代表の塚田哲也と力を合わせて、強い組織づくりができていることですね。二つ目は、現在35人近くいるメンバーのほぼ全員が、社員が知人を紹介する「リファラル採用」で集まっているところです。入社前から事業に共感してくれているので、全員が同じ目線を持ち結束があります。クルーで活動している者が兼業でCOSOJI内部に関わってくれているケースもあります。特に問い合わせへの対応を行うカスタマーサポートチームはほぼ全員が現場経験者です。現場で仕事をする人の勝手や気持ちがわかるというのは非常に心強いです。
―今後の展望を教えてください。
1年目は仕組みづくり、2年目は本格的な利用者拡大に力を注いできました。3年目に入った今年も、課題ドリブン、ユーザードリブン、現場ドリブンの3点を念頭に置きながら、管理業に携わる人たちと地域をよりよくつなぐという私たちのビジネスモデルを突き詰めていきます。サービス面では、エアコンやキッチンの設備交換を試験的にメニューに加えていく予定です。お世話になっている西田コーポレーション(神奈川県厚木市)の西田光孝社長が、これからの管理業は「後手管理から先手管理」だとおっしゃっていました。その言葉の通り、問題が起こる前に動くことで管理業が「クレーム産業」から脱却できるような、新しい形作りに貢献していきたいと考えています。
芸が〝仕事の肥やし〟に
本業の傍ら漫才師として活動していた珍しい経歴を持つ富治林社長。「笑いで人を幸せにしたい」という思いを抱き、27歳の頃から3年間活動した。「リーマンブラザーズ」「有給消化率100%」というコンビで、新宿などで開催されたお笑いライブに出演。若手漫才師の日本一を決める「M-1グランプリ」の予選にも出場した。現在は社長業に専念しているが、お笑いを通じて人前に立つことに自信がつき、「プレゼンテーションでめげない精神力が身に付いた」と当時を振り返る。
M-1グランプリ予選会の様子
会社概要
社名:Rsmile
住所:東京都千代田区大手町2丁目7-1 TOKIWA BRIDGE 13階
設立:2020年5月25日
資本金:1億1674万円
事業内容:不動産管理のシェアリングプラットフォーム「COSOJI」の開発・運用
会社メモ
不動産管理者と地域住民をつなぐシェアリングプラットフォーム「COSOJI」を運営するベンチャー企業。同サービスでは、アパート・マンション、太陽光発電施設、シェアハウスなどの不動産における管理業務を登録クルーにウェブ上で依頼可能。依頼から報告書の確認、決済までをオンラインで完結できる。
社長メモ
1989年11月4日、京都府生まれ。立命館大学を卒業後、不動産業界の数社を渡り歩き、大型ビルの管理、プロパティマネジメント、アセットマネジメント、不動産開発、クラウドファンディング事業などに従事。2020年にRsmileを創業し、代表取締役に就任。
(2023年2月6日11面に掲載)




