多摩ハウジング、飛来物対策を呼びかけ
管理戸数250戸の多摩ハウジング(神奈川県川崎市)は、19年10月の台風19号により、管理物件が一部損壊した。
台風が通過した翌13日には、管理する50棟を巡回し、損壊箇所がないか建物の状況を調査。管理する50棟の物件のうち、屋根材が飛ばされてしまったり、住居の窓ガラスが割れるなど、10棟の物件に被害が見られた。管理スタッフ3人で物件を回り、損壊箇所をカメラで撮影。オーナーに損壊箇所の写真を送り、修繕の提案を行った。
ただ、台風直後は馴染みのリフォーム会社も修繕対応で立て込んでしまう。同社は現地調査に2~3日、ブルーシートを屋根にかぶせて雨をしのぐ応急処置を行うのに2週間から1カ月もかかってしまった。「修繕が完了するまでに2カ月かかった物件もあった」と横田雅樹社長は振り返る。
その際に管理会社に求められる重要な役割の一つが、災害後の近隣トラブルを最小限に抑えるために、どんな準備ができるかを事前に考えておくことだ。同社では、台風が接近すると入居者に電話連絡や手紙を投函し、ベランダに置いてある荷物などを室内にしまうように周知。飛来物対策を行っているが、突風で管理物件の屋根の破片が隣家の自動車に傷つけてしまい、隣家の住人と管理物件のオーナーの仲裁に入ったという。
「修理費用を請求する隣家の住人に対し、オーナーは自然災害を理由に保証はしないと主張。災害時は物件の現状確認と、近隣とのトラブルを最小限に抑えるための対応を管理会社には求められると思う」(横田社長)
多摩ハウジング
神奈川県川崎市
横田雅樹社長(39)
停電世帯にランタンを配布
都内に戸建て賃貸4棟を所有する石田耕オーナーは、19年10月の台風15号が通過した翌日、所有物件の一部が損壊した知人オーナーが入居者の安否を確認するのに同行。千葉県匝瑳市にある4棟14戸の賃貸アパートに都内から車で向かった。庭に散乱した飛来物を清掃し、停電の中で夜を明かした入居者にキャンプ用のランタンとカップ麺を配りながら安否確認を行い、入居者の無事を確認した。
災害対応に真摯に向き合うことで、入居者との信頼関係が強化されるメリットもあると気付いた。石田オーナーは「安否確認を行って以降、設備の不具合などで入居者が気軽に連絡してくれるようになった」と語る。
物件は軒天や屋根の損壊や、網戸が飛ばされるなどの被害が見られた。リフォーム事業者に修繕を依頼するも、築30年以上の物件は経年劣化に加え、台風被害により著しく損傷し、見た目は古い印象になっていた。台風後は退去が相次ぎ、最大4戸が空室になった時期もあった。だが、石田オーナーはDIYで空室の部屋の内装を施し、建物の外壁塗装を行うなど、知人オーナーをサポート。6月には全14戸が満室に回復した。
石田耕オーナー(57)
東京都世田谷区
防災・減災展に512人が来場
防災対策を練る上では、より多くの有効策を知っておくことも重要となる。防災・減災対策の専門サイトを運営する防災ログ(東京都中央区)は8月20~21日、大田区産業プラザで『防災・減災展2020 東京』を開催し、512人が来場した。最新の商材を知ることで、対応の幅を広げられるかもしれない。
災害のメカニズム、災害時の避難方法など約30のセミナーを開催。毎年のように起こる大規模災害に加え、新型コロナウイルス禍による密集を回避した避難所での感染対策が新たな課題となっている。
企業20社が参画。カワハラ技研(東京都中央区)は、組立式の個室トイレを紹介。壁など材料の大部分に紙を使用し焼却処分できる。材料の重さは60㎏で女性2人でも約20分で組み立てが可能だ。企画開発部の小野奈々子部長は「約1600回使用でき、賃貸マンションのトイレが機能しなくなった際にも役立つ」と語る。
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