【賃貸管理会社の経営分析】借り上げと紹介で管理伸ばす2社を取材

トラストアドバイザーズ,E‐Life(イーライフ)不動産

企業|2022年05月31日

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 管理会社の実務の中から「管理受託営業」にフォーカスし、各社の指標や実際の施策を取材。今回は、販売会社から借り上げて管理を伸ばすトラストアドバイザーズ(東京都台東区)と、既存家主からの紹介を増やすE‐Life(イーライフ)不動産(熊本市)の取り組みを紹介する。

トラストアドバイザーズ、販売会社から借り上げ、500戸増

ファンド強化で管理増目指す

 東京23区の区分マンションをメインに約8000戸を管理するトラストアドバイザーズは、2021年5月と比べ、約500戸管理戸数を増やした。販売会社からの借り上げと、ファンドへの営業強化により着実に管理戸数を拡大している。

 管理物件は東京23区内を中心に所在し、1K〜1LDKの区分マンションが75%を占める。

 新規受託営業は社長と取締役、営業社員の3人で行う。新規受託は、区分マンションの販売会社経由が多い。販売会社がオーナーから借り上げ、さらに同社が販売会社から借り上げる、二重借り上げ方式で管理戸数を伸ばしている。

トラストアドバイザーズの会社情報

 販売会社が同社を管理会社に選ぶ理由は、借り上げ料率の高さにある。16年ごろから、販売会社からの要望により、二重借り上げ方式での受託が増えていった。

 二重借り上げ方式のメリットは同社にも大きい。管理業務の効率化を図ることができるからだ。

 例えば、オーナーが100人いれば100件の送金が必要になるが、販売会社を介していれば、1件の送金で済む。他にも、設備の不具合で入居者やオーナーから1件ずつ連絡を受けるより、販売会社経由で数件分をまとめて報告を受ける方が効率よく対応できる。

 同社は販売会社から周辺家賃相場の約90%でマスターリースする。「借り上げ料率が高いと販売会社は高い賃料を出すことができ、投資家への利回りを上げられる。そのため販売会社から声をかけてもらえている」と宮村幸一社長は話す。

 付き合いのある販売会社は30社程度。メインで管理を受託するのは7〜10社ほどだ。

 ほかには、土地の仕入れを行っている知人から声かけされることもある。仕入れ後の土地に賃貸物件を建設する際などにオーナーからの紹介を受ける。

 近年の平均値は、管理戸数増加約500戸、減少は30〜数百戸で、純増500戸程度が続く。

 ただしファンド物件の売却があると、一度に30〜100戸程度の管理がなくなるため、時期によっては管理戸数が前年割れすることもある。

 今後、管理受託の方針は二つ。一つ目は23区内の物件管理を増やすこと。二つ目はファンドへの営業強化だ。現在、運用を任されているファンドは計5社。同社のPM事業部7人のうち、ファンドへのレポート作成・説明業務ができる担当者は5人だ。「ファンドへの対応は不動産全般だけでなく、金融の知識が深くなければできない。ジョブローテーションを重ね、さまざまな業務を経験した社員が増えたことにより、当社もやっとここまで成長できた。今後は人材を強化し、取引先を増やしていきたい」(宮村社長)

 23年3月期は売上高65億円、管理戸数8500戸を目指す。

宮村幸一社長の写真

トラストアドバイザーズ
東京都台東区
宮村幸一社長(45)

 

 

E-Life不動産、自社アプリで関係強化

満足度高めて紹介獲得

 管理戸数4100戸のE-Life不動産では、自社開発のアプリを活用したオーナーの満足度向上により、既存オーナーからの紹介で新規の管理を受託。21年度は、約150戸の増加となった。

 管理物件のエリアは熊本市内中心。管理を受託するオーナー数は約400人。オーナーの属性は、約4割が法人で、約4割が地主、約2割は投資家だ。

 物件の管理は、エリアで分けており、1人あたりだいたい600〜700戸を担当している。

 新規に受託した物件のうち約6割は既存オーナーに紹介を受けた新規顧客からの受託、約3割は既存オーナーからの追加受託だ。

E-Life不動産の会社情報

 管理離れが起こる主な原因として、オーナーとのコミュニケーション不足が考えられる。同社では、担当者個人ではなく、会社としてオーナーの信頼を得るため、18年に自社開発のオーナーアプリを導入した。

 既存オーナーからの追加受託の決め手は、コミュニケーション強化とポートフォリオ分析にある。オーナーから見て普段話をする機会のない経理やリーシングなどの社員ともアプリのチャットを通して気軽に相談でき、担当者の名前を覚えるほどの関係を築いている。これが会社としての信頼となり、追加受託の一番の要因と同社ではみる。また、アプリでは管理物件の購入から現在までの収支などを可視化し、ポートフォリオ分析ができるため、既存オーナーの他の保有物件を丸ごと管理受託することも多い。

 既存オーナーからの紹介で新規受託に至るオーナーは、口コミがきっかけになっている。既存オーナーから、空室の悩みが改善したという話を聞いた親戚や知人が、同社に相談に来る。

 同社では、CPM(米国不動産経営管理士)の資格保有者が賃貸管理を担当し、精度の高い提案で信頼を獲得する。相談から受託につながる割合は9割強を誇る。

ヤマダデンキの店舗の写真

ヤマダデンキ「Tecc LIFE SELECT(テックライフ セレクト)熊本春日店」内の店舗。「ヤマダ不動産」のフランチャイズで営業している

 井ノ口寛容社長は「管理の効率化と密なコミュニケーションをとるためにエリアをある程度絞って管理受託の増加を目指したい」と話した。

井ノ口寛容社長の写真

E-Life不動産
熊本市
井ノ口寛容社長(42)

 

 

(2022年5月30日6面に掲載)

おすすめ記事▶『【賃貸管理会社の経営分析】管理戸数を増やす施策は?2社の事例を紹介』

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