建設費・資材高騰 投資需要は上昇傾向
2022年10月に「健美家」登録会員を対象に実施した「第18回不動産投資に関する意識調査」によると、81.4%の投資家が1年前と比較して「価格が上昇している」と回答した。
1年前(21年10月)の調査では、69.2%の投資家が「価格が上昇している」と回答していたことから、1年でさらに1割増加したことになる。
実際の数値はどうか。毎月発表している「マンスリーレポート(全国版)」によると、21年と比較して、区分マンションは110%、一棟アパートは106.7%、一棟マンションは104.4%と住宅系3種別すべてで価格が上昇した。
理由の1位は「建設費や資材価格が高騰しているから(59.3%)」。続いて「投資や副業への注目が高まっているから(51.6%)」「国内投資家の需要が増えているから(45.1%)」「外国人投資家の需要が増えているから(42%)」と需要の高さについての回答が続いた。
建材・住宅設備の高騰は「ウッドショック」「ロシアのウクライナ侵攻」による影響が大きく、投資家の需要の増加には「将来不安」「不動産購入のDX(デジタルトランスフォーメーション)化」「テレワークの拡大」「インフレ」「低金利」など複数の理由が影響していると思われる。
価格が上昇している収益不動産につき、主要都市ごとに種別と築年数帯で動向を見ることで現在の傾向を把握し、今後の参考にしてほしい。
■東京23区
【区分マンション】築20年未満は価格上昇。築20年以上の物件価格は22年1~3月をピークに低下
【一棟アパート】築年数問わず価格が上昇。
【一棟マンション】すべての築年数帯において価格は横ばい。
■1都3県
【区分マンション】築20年未満は価格上昇。東京23区と神奈川県横浜市の築20年以上の物件価格が低下。
【一棟アパート】横浜市の築10年未満、神奈川県川崎市の築20年以上の価格は横ばい。埼玉主要都市の築10年以上築20年未満の価格が低下。
【一棟マンション】すべての築年数帯において価格は横ばい。
■北海道札幌市
【区分マンション】すべての築年数帯で価格は横ばい。
【一棟アパート】築10年未満および築20年以上の価格が上昇。
【一棟マンション】築20年以上の価格が上昇。
■愛知県名古屋市
【区分マンション】築20年以上の価格が22年1~3月をピークに低下。
【一棟アパート】築20年未満の価格は22年。1~3月をピークに低下
【一棟マンション】築10年未満の物件価格は低下。築10年以上20年未満の物件価格は上昇。
■大阪市
【区分マンション】築10年未満の物件と築20年以上の物件で価格が低下。
【一棟アパート】築10年以上の価格が22年1~3月をピークに低下。
【一棟マンション】築10年以上20年未満の物件価格は上昇。築20年以上の物件価格は低下。
■福岡市
【区分マンション】築10年~築20年未満の物件で価格が低下。
【一棟アパート】築20年以上の価格が上昇。20年未満は横ばい。
【一棟マンション】築20年以上の価格は21年10~12月をピークに低下。
住宅系3種別について、地域や築年数帯に分けて見ると、一部では価格の低下が見受けられたが、どの種別も全体としては価格が横ばいまたは上昇している。価格の上昇時期は、売却のタイミングに重なるが、意識調査においてもその傾向が表れている。
「売り時だと思う 47.7%」
22年4月に実施した意識調査では、21年の調査より「売り時」と回答した割合が20.2ポイント増加し、47.7%となった。
「1年後の物件価格は『上昇する』 52.9%」
22年は物件価格の横ばい、または再び上昇をした1年となったが、23年はどうか。最新の意識調査によると、52.9%の投資家が「価格上昇」と回答している。
理由の1位は建設費や建材価格の上昇(67%)。22年より7.7ポイント上昇している。また、投資や副業への注目が高まり、国内外の需要増加も引き続き上位となった。
全体として価格上昇の22年となったが、地域と築年数帯で見ると価格低下も見受けられた。
今後は政策金利の上昇タイミングが、価格に影響するタイミングになるかと思うが、マーケットについては常に情報をキャッチし傾向をつかんでおくことを勧めたい。
健美家
代表取締役社長 倉内敬一
1998年 リクルート入社(住宅情報事業)
2006年 不動産会社でビル、マンションの売買
2008年 健美家入社
2012年 代表取締役社長、現任
一般社団法人全国住宅産業協会政策委員 公益財団法人日本賃貸住宅管理協会賃貸 研究会副会長、東京都支部上席幹事 一般社団法人HEAD研究会理事、不動産マネジメントTF委員長
「不動産投資に関わる人に価値ある情報 を提供し、正しい判断ができるプラット フォームづくりを目指している」
(2023年1月2日・9日27面に掲載)