セレンディクス、24時間で完成する住宅登場

セレンディクス

企業|2022年09月29日

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Sphereフジツボモデルのイメージ(提供:慶応義塾大学KGRI環デザイン&デジタルマニュファクチャリング創造センター 益山詠夢)

 ベンチャー企業のセレンディクス(兵庫県西宮市)は3Dプリンターを使い、24時間でできる住宅「Sphere(スフィア)」を開発。2023年春には49㎡の住宅を500万円で提供する計画だ。

3Dプリンターで低コスト化

 セレンディクスは3月に、愛知県小牧市でSphereの第1号を完成。3Dプリンターで設計通りにコンクリートを重ねてつくった四つのパーツを組み立て、球形の住宅とした。施工時間は24時間を切ったという。

 10月から、床面積10㎡の商品の一般販売を開始する。10㎡の広さだが、コンクリートのみで作るため、重さは22tあり、Sphereそのものの荷重のみで安定する。コンクリートの壁の厚みは30cmあり、日本の耐震基準を満たす。

49㎡の平屋が500万円

 そんな同社が23年春の販売に向けて、慶応義塾大学と共同で開発を進めるのが、水回りを完備する「フジツボモデル」だ。標準仕様が49㎡、1LDKの平屋タイプで価格は500万円の予定だ。

 給排水管工事、浴室やトイレの設置、電気工事が入って、500万円は難しいのではないかといった疑問に対し、飯田國大COOは「協力会社からは、施工は1日8時間の作業、計3日間で可能との言質が取れている。工期が長くなれば、その分人件費がかかる。24時間以内に施工という条件により、コストが驚異的に下がる」と自信を見せる。

高齢者への提供優先

 徹底した機械化、「超」短期施工による、これまでにない価格帯で買える高性能住宅の提供を目指す同社は「すべての人を住宅ローンから解放する」をスローガンに掲げる。

 飯田COOは「誤解されがちだが、賃貸住宅とはビジネスで食いあわないと考えている」と話す。

 その理由の一つとして、日本の大きな社会課題が「高齢者の住める家があまりにも少ないこと」を挙げる。

 これまで1000件以上、Sphereの購入希望の問い合わせがあったが、高齢者からの「60歳になったら家を貸してもらえなくなった」といった声が圧倒的に多かった。

 「フジツボモデルは、高齢者が夫婦で暮らせることをコンセプトにしている。日本の住宅において、最優先すべきは高齢者向けの住宅提供だと考えた」(飯田COO)

賃貸での活用視野

 退職し都心部へ出勤する必要がない高齢者であれば、郊外や地方で土地の価格が安い場所に住める。同社の商品であれば、手持ちの資金で購入できるようになる。資金の余裕がない層には、投資家が賃貸住宅として提供するケースも考えられる。土地と建物費用が抑えられれば、入居者は安い家賃で暮らすことができ、投資家側も十分に収益を上げられる。買うにしても、借りるにしても、高齢者向けの住宅不足の解消を同社の商品で担っていきたいとする。

 「Sphereは現在、世界中の企業140社とコンソーシアムを作り、協力して開発している。先の見えない時代に、住宅ローンを30年も組むビジネスモデルはもはや通用しない。そして、もし住宅ローンに縛られなければ、人生の選択肢が大きく広がる」(飯田COO)

(河内)
(2022年9月26日24面に掲載)

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