賃貸住宅フェア2023 フェア登壇者企業紹介

札幌オーナーズ,明和不動産,TSMC,ソニー,協和開発,リライフ,三角形,のしろ家守舎,落合不動産,セレンディクス

その他|2023年07月03日

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 7月19、20日に全国賃貸住宅新聞社が主催するイベント「賃貸住宅フェア2023」内で約80のセミナーを実施する。このうち、七つの注目セミナーについて、登壇者の概要や見どころを紹介。地場不動産会社の経営者が登壇するセミナー、業界トレンドをテーマにした座談会など、幅広いテーマを用意した。

人口減時代、成長目指す経営術

札幌オーナーズ、賃貸管理軸に年商7億円

年平均220戸増加で伸長

 設立30年目で、4055戸を管理する札幌オーナーズ(北海道札幌市)。2024年には管理6000戸を目標に掲げる。オーナーとの関係性の構築につながるのであれば、広告宣伝費やブランディングを目的に目先の利益を追わない方針を掲げ、年商7億円超にまで成長してきた。

 同社の商圏は、北海道札幌市白石区を中心に、市内全域。従業員はパートを含み約50人。売り上げの43%を賃貸管理や自社所有物件の家賃収入が占め、次いで売買仲介、工事、賃貸仲介と続く。

 管理戸数は、2000戸台以降、年間平均220戸ペースで増加。22年10月時点で管理を受託するオーナーは、地主系をメインに325人になった。

 同社の特徴は、森賢一社長のポリシーとなる「損して得取れ」を経営方針に生かしている点だ。22年8月から、オーナー負担となる家賃送金の振込手数料を減額した。一般的には、400円台となる手数料を、一律110円とし、差額分は同社が負担。年間の売り上げで約100万円のマイナスとなるが、これを顧客のオーナーから支持を得て新規顧客を紹介してもらうための広告費のようなものと捉えるのが同社の考え方だ。

 森社長は「管理業は、業務内容の種類での差別化は難しい」と語る。そのため、ブランディングになることを優先し、管理戸数を伸ばしている。

 新規事業として、旅館業を展開。宿泊施設の供給で、地元の温泉街の町おこしにも乗り出す。

札幌オーナーズ 森賢一社長の写真

札幌オーナーズ
北海道札幌市
森賢一社長(63)

 

 

「損して得取れがモットー 管理4000戸超に増やした堅実経営」
【日時】7月19日(水)14時30分~15時20分
【場所】経営者向けセミナー(Z-4)会場

明和不動産、管理収益ベースに売買強化

売上高100億円を目指す

 明和不動産(熊本市)は、グループ売上高90億円を誇る。その約5割を管理事業が占め、事業の柱となっている。成長ドライブは開発・売買事業だ。中期的には売上高100億円、経常利益5億円の目標を掲げる。

 主軸の管理事業の売上高は44億円でそのうち管理料収入は9億円。新規受託戸数は年1000戸のペースで、3月時点の賃貸管理戸数は2万4441戸にまで拡大した。2015年には近隣の賃貸不動産会社をM&A(合弁・買収)し、約3000戸を増やした。

 一方同社で課題としているのは、売却に伴う管理の解約だ。川口圭介CEOは「管理をしている当社に連絡してもらえず、売却となる現状を改善していきたい」と、今後中古売買の専任部署を設ける。管理物件を別の投資家に販売することで、仲介手数料を得つつ、管理離れも防ぐことを目指しているという。

 成長事業に据える開発・売買事業は18億円を売り上げる。年間20棟、800〜1200戸の物件供給に携わる。

 23年の開発の舞台は、世界的半導体メーカーのTSMC(台湾)やソニー(東京都港区)の工場設立に沸く熊本県菊陽町だ。1階に同社の支店とテナントフロアを設けた賃貸マンションを建設中。新店舗を足掛かりに、同エリアでの賃貸物件の建築強化と管理獲得を目指す。

 継続的な開発と並行して売買仲介の強化も図っていく。

明和不動産 川口圭介CEOの写真

明和不動産
熊本市
川口圭介CEO(45)

 

 

「売上100億円、経常利益5億円を目指す明和不動産の事業戦略とは」
【日時】7月19日(水)13時10分~14時
【場所】経営者向けセミナー(Z-4)会場

協和開発、開発・借り上げ・再販で循環

小さな改良重ね効率化へ

 協和開発(香川県観音寺市)の特徴は人口減少が進む地方都市で、マスターリースと買い取り再販を組み合わせた独自の循環型ビジネスモデルを実践している点にある。

 香川県観音寺市と三豊市の物件を中心に、開発したアパートを土地とセットで販売。その後、建物のコンディションや建物の取得金額などを総合的に考慮しながら買い取りを提案。土地・建物をオーナーから買い取ったあと、必要に応じて自社で改修工事を行ったのち、投資家に再販する。

 これにより、安定した経営を維持するだけでなく、オーナーの囲い込みや管理業務の効率化、入居者満足度の向上などさまざまなメリットがあるとする。

 6月22日時点の同社のサブリース物件は、自社保有物件も含めて504棟1940戸で、入居率は85.72%だ。独自開発した基幹システムや契約関連業務用システムなどを活用し、グループ会社も含め従業員13人で対応を行う。

 こうした循環型のビジネスモデルができた背景には三谷洋介社長がシステムエンジニアであることが大きい。三谷社長が重視するのはアジャイル開発の手法だ。

 アジャイル開発とはシステムの開発手法の一つで、小さいシステムをつくっていくことで、最終的に大きなシステムをつくり上げるものだ。

 三谷社長は「業務も小さな変更を積み重ねていき、改善を進めている。社内も大きな改革を行うことに対しては拒絶を起こすが、小さな変更に対しては受け入れてくれる」と話す。

 今後は住環境を提供する事業者として、街づくりにどのように関わっていくべきかを研究していく予定だ。

協和開発 三谷洋介社長の写真

協和開発
香川県観音寺市
三谷洋介社長(47)

 

 

「人口減少エリアでも経営安定、協和開発の循環型不動産ビジネス」
【日時】7月20日(木)10時30分~11時20分
【場所】経営者向けセミナー(Z-4)会場

成約率向上の取り組み事例も

リライフ、仲介件数22年比44%増の5150件

店舗出店とRPA運用で拡大

 年間賃貸仲介件数5150件のリライフ(東京都千代田区)は、拡大主義により店舗数を増やす一方で、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の活用により成約率を維持。賃貸仲介件数を2022年比で44%増やした。

 売上高(非開示)のうち、約70%が賃貸仲介にあたる。東京23区を中心に、賃貸仲介店舗を20店舗展開している。

 賃貸仲介件数伸長のポイントは二つ。一つは拡大主義を貫いてきたことだ。年3〜5店舗ずつ出店を続けている。

 二つ目は、RPAを活用し、成約率維持に効果を上げている点だ。各店舗のスタッフに、提案状況などをリアルタイムで入力してもらうことで、店舗ごとの反響来店率が表示されるようにRPAを開発した。

 反響来店率の目標を33%としている。目標値に達していない店舗は、統括するマネジャーに連絡し、その旨を通達。一度反響があった顧客の追客を促すという。

 そのほか、ポータルサイトへの出稿作業もRPAで自動化した。全体で月約10時間の残業時間の削減を達成するなど、RPAの活用を推進している。

 エリアを拡大しながら、同時に成約率を維持することで賃貸仲介件数を5年連続増加させている。

 今後の目標は構築したシステムの外販だ。同社が開発したシステムは出稿作業のほか、物件管理、顧客管理など、合計七つ。それらをパッケージ化し、外販していく。

リライフ 鈴木卓人社長の写真

リライフ
東京都千代田区
鈴木卓人社長(40)

 

 

「設立8年で賃貸仲介5150件!急成長するリライフの経営戦略」
【日時】7月19日(水)10時30分~11時20分
【場所】経営者向けセミナー(Z-4)会場

三角形、のしろ家守舎、シャッター街再生で来訪者増

「地域に愛着」がカギ

 シャッター街となった商店街を再生し、地域の活性化に取り組む若き経営者たちがいる。

コトブキッチンの写真

寿百家店の様子に入居する「コトブキッチン」

 PR企画会社の三角形(福岡県北九州市)が、鹿児島県で商店街の再生プロジェクトを手がけるのは、JR鹿児島本線黒崎駅を中心に扇状に広がる黒崎商店街の一画、寿通り商店街だ。同商店街は、2015年ごろ13店舗中8店舗が閉店していた。同社は、3軒の元店舗を11区画に細分化し、賃料を低額にしたことで若い起業家らを誘致。ラーメン店やネイルサロン、古本店などが入居し、各店の店主がSNSに投稿するなどして来店者数増加につながっている。今では、月間約2400人が来訪し、にぎわいを取り戻しつつある。同社は約3年をかけてシャッターの落書きを落とし、ペインティングを行う「トム・ソーヤ大作戦」を決行。SNSなども活用しボランティアの参加者を募集した。地元の子どもから大人まで参加し、「当事者意識を持ってもらうことができた」(福岡佐知子社長)

三角形 福岡佐知子社長の写真

三角形
福岡県北九州市
福岡佐知子社長(45)

 

 

 一方、秋田県能代市で商店街の再生を目指し奮闘するのが、のしろ家守舎(秋田県能代市)だ。

 JR五能線能代駅前にある畠町商店街は「東北を代表するシャッター街」と呼ばれる。同社は、元酒販店の「丸彦商店」を借り上げ、「マルヒコビルヂング」としてリノベーション。2階をコワーキングスペース、1階をカフェと子どもの遊び場、地下1階をDIY工房とし、1階部分は月約3000人が訪れている。湊哲一代表社員は地元出身の家具職人で、同社のほかのメンバーも地元で事業を行う当事者たちだ。地域の課題を解決するエリアリノベーションの勉強会から同社の発足に至った。

のしろ家守舎 湊哲一代表社員の写真

のしろ家守舎
秋田県能代市
湊哲一代表社員(45)

 

 

「シャッター街再生で街に活気を取り戻す!若き経営者たちの挑戦」
【日時】7月19日(水)13時10分から14時
【場所】市場トレンドセミナー(Z-3)会場

落合不動産、接客1時間で当日成約9割

営業2人で売上6000万円

 落合不動産(神奈川県相模原市)の最大の特徴は、生産性の高い賃貸仲介ビジネスを展開する点にある。月間平均反響率110%、年間平均来店成約率は90%を誇る。営業担当は落合健社長も含めて2人で、年間約550件の賃貸仲介を行い、6000万円を売り上げる。

 ポータルサイト掲載に工夫を施すほか、顧客ターゲットを絞ることで、反響数と成約数を増やす。

 同社ではポータルサイトでの反響獲得のために工夫を凝らす。物件の間取りや築年数などに合わせ、撮影方法をマニュアル化。ピンポイントで物件のどの箇所をどの角度から撮るか、顧客の反響を得られるパターンを確立することで効率化に成功している。

 また、顧客のペルソナも明確に定めている。同社がターゲットに設定するのは、大手仲介会社に行くことに対し少しためらいを感じており、地元の小規模な不動産会社のほうがアドバイスをしてくれると考えている層だ。教師など、仲介手数料の金額をあまり気にしない収入がある層が多いという。

 もう一つ、同社のこだわりは1回の接客で信頼を獲得することだ。同社の接客は1組あたり平均で1時間。冒頭の30分で信頼関係を築き、残りの30分で物件提案を行ったうえで、内覧案内に行く。内覧案内は接客担当とは別のパート社員が行う。顧客のうち9割は来店当日に成約に至るという。

 落合社長は「信頼関係が築けていれば、内覧時は別の担当者になっても成約できる」とコメントした。

落合不動産 落合健社長の写真

落合不動産
神奈川県相模原市
落合健社長(49)

 

 

「来店成約率95%! 生産性高める賃貸仲介会社の営業独自手法」
【日時】7月19日(水)11時50分~12時40分
【場所】不動産会社向けセミナー(Z-5)会場

セレンディクス、3Dプリンターで住宅建築

24時間で完成、賃貸活用視野

 ベンチャー企業のセレンディクス(兵庫県西宮市)は3D(3次元)プリンターを活用した住宅「serendix(セレンディクス)10(スフィアモデル)」を開発。24時間で完成する超短期施工・低価格の住宅として普及を目指す。5月31日には、長野県佐久市で初の店舗用物件を完成した。現在は、専有面積49㎡の平屋で水回りも備えた「フジツボモデル」を慶応義塾大学と共同開発中で、500万円程度での提供に向け動く。

 同商品は、3Dプリンターで設計したとおりにコンクリートを重ねてつくった四つのパーツを組み立て、球形の住宅とするもの。コンクリートの壁の厚みは30cm。日本の耐震基準を満たす規格だという。

 同社のスローガンは「すべての人を住宅ローンから解放する」だ。

 低価格で高性能の住宅を提供することで、長期の住宅ローンを払う必要がなくなるとみる。ただ、賃貸住宅と競合する商品だとは考えていないと飯田國大COOは言う。その理由は「高齢者向け住宅の不足」だとする。

 同社に寄せられた同商品に関する問い合わせのうち、圧倒的に多かったのが高齢者からだった。「60歳になったら家を貸してもらえなくなった」といった声が上がっていたという。

 郊外や地方など土地の価格が安いエリアで賃貸住宅として提供すれば、抑えた家賃で高齢者が住むことができ、投資家も事業として成り立たせることができるとする。

セレンディクス 飯田國大COOの写真

セレンディクス
兵庫県西宮市
飯田國大COO(50)

 

 

「施工期間24時間! 3Dプリンター住宅で賃貸業界はどう変わる」
【日時】7月19日(水)16時~16時50分
【場所】市場トレンドセミナー(Z-3)会場

(2023年7月3日4・5面に掲載)

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