宅配ボックスと置き配は共存する ユースシーンからひも解く空室対策
商品|2023年10月26日
EC(電子商取引)の普及により、空室対策として宅配ボックスの需要が高まっています。社会問題となっている再配達問題にも有効なため、多くの管理会社が導入に前向きです。一方で、スマートロックを提供するライナフ(東京都文京区)の杉村空取締役は「宅配ボックスをすでに設置している管理会社から、『置き配を検討したい』という声が上がっている」と話します。同じ用途に思える宅配ボックスと置き配ですが、両方導入することにどのようなメリットがあるのでしょうか。解説します。
§1 宅配ボックスの課題点
宅配ボックスの数には限りがあり、30戸の賃貸物件に10個のボックス数といったように、入居者同士がシェアして使用することが一般的です。すると、利用予約をしようとしたとき、すべての宅配ボックスがすでに埋まっていることがあるそうです。一方で、戸数と同じ数の宅配ボックスを導入しようとすると、コストやスペースが圧迫してしまいます。結局は入居者満足につながらないという課題があります。
§2 置き配の主な利用シーン
置き配は、エントランスを解錠することで、届け物を各戸の玄関前まで届ける仕組みです。エントランスに専用のスマートロックを設置し、提携する配達事業者のドライバーが開閉できるため、入居者の負担が少ないことがメリットです。ただし、荷物が玄関前に置かれている状態であるため、盗難に遭うこともまれにあるそうです。
§3 購入品に合わせた受け取り方
最近では、ECによる購入品の中でも、水やトイレットペーパーといった安価な生活必需品は置き配、プレゼントやブランド品などの高級品は宅配ボックスといったように、購入品に合わせて受け取り方を変えることが主流になりつつあります。こうした動きが、宅配ボックスを設置している物件でも、置き配導入を検討する理由となります。
§4 入居者の生活スタイルの多様化
新型コロナウイルス禍を経て、人々の生活スタイルは多様化しています。テレワークやフリーランスでの働き方は、もはや一般的となりました。入居者のさまざまな行動様式に合わせられる物件や住宅設備が求められるでしょう。