「収納が多くない物件なので、物を所有しない暮らし方を提案しませんか。徒歩3分の場所にカーシェアリングサービスの拠点もあります」。街歩きで物件の魅力の再発見を支援するCowalking(コウォーキング:東京都港区)の篠田洋江社長は、東京・白金台の賃貸マンションを保有する不動産会社にこんな提案をした。
入居者の暮らし方を提案
Cowalkingでは、部屋探しの際に役立つ物件周辺の情報をオーナーや不動産会社に提供する「周辺環境リサーチ」を展開している。入居者目線で当該地域を実際に歩き、訴求方法の提案をレポートや手描きの地図にまとめて募集に役立てるものだ。
マンションの賃貸を行う興和地所(愛知県名古屋市)は9月、所有する物件の立地面での魅力を見いだせずにいたため、Cowalkingに街歩きの同行を依頼。駅からの道や公園のように使える野球場、カーシェアリングサービスの拠点などを、物件の管理会社も含めて3社で見て回り、「木が茂って寂しいといわれがちな駅からの道は、木漏れ日の散歩道になる」といった気付きを得た。その後この環境にはどんな人がどのように住むことができるのかを協議。「シェアリングなどに抵抗のない30代単身者」という入居者ターゲットと、「センスよく暮らす」というコンセプトを決めた。
興和地所はこれに合わせて募集広告の写真や文章を修正し、10月19日時点では反響の有無など効果を測定している。興和地所東京支店営業第三部の那須英司部長は「周辺環境の細部を徹底した入居者目線で拾うことで、物件の魅力に気付くことができた」と話す。
Cowalkingの篠田社長はこれまでに9回の転居を経験。その都度、引っ越し先のエリアを歩いて調査して住居を決めてきた。「物件の価値向上に努めるオーナー・管理会社と、暮らしにこだわる入居者をつなぎたい」と同サービスを始めた理由を語る。
料金は支援内容や納品物により異なり、7万7000円(税込み)から。
Cowalking
東京都港区
篠田洋江社長(48)
(2023年11月20日8面に掲載)