常口アトム、新規の家主開拓 管理6万戸へ

常口アトム

インタビュー|2024年01月03日

常口アトム 北海道札幌市 清河智英社長(63)

人事評価刷新で体制安定化82拠点を展開

82拠点を展開

 グループで5万6670戸を管理する常口アトム(北海道札幌市)は、原点に立ち返りオーナーとの関係を強化する。2027年9月期に見据えるのは、管理6万戸だ。

 同社は、23年に札幌市内の管理戸数が13年ぶりに増加した。清河智英社長は「この5年間で、着実に利益が積み上がってきた。今こそ、事業の持続的発展を見据え、挑戦と変革の年にしていきたい」と話す。

 23年9月期の売り上げは92億9200万円。営業利益は5億1100万円だった。売り上げは前期比1.7%増、営業利益は同1.4%減の増収減益だった。事業構成比率は、不動産管理事業が47%、賃貸や売買仲介を含む不動産仲介事業が43.8%、その他が9.3%だ。(小数点第2位を四捨五入したため100%にならない)

 全従業員はパートスタッフを含み788人(9月末時点)。事業拠点は北海道内で78拠点。青森県と岩手県にも展開する関連会社を含めると、グループ全体で82拠点だ。賃貸仲介店舗は北海道を中心に直営で52店舗となる。年間の賃貸仲介件数は、23年9月期のグループ合計で3万1199件。

攻めの営業姿勢へ

 同社は5カ年経営計画で、顧客満足度を高めることをスローガンに掲げる。管理事業において強化するのが、オーナーの新規開拓と関係性の構築だ。

 22年1月から、本社にオーナー開拓の専門部署を立ち上げ、札幌市内の一般オーナーを中心に管理受託営業を進める。

 オーナーとの関係性強化については、既存オーナーとその先にいる相続人情報の把握を徹底する。物件売却の可能性に備えることで、他社への流出を防ぎ自社の売買事業につなげる狙いだ。

 道内の各拠点で1000〜5000戸を管理し、札幌市内では約2300人のオーナーから管理を受託している。各管理エリアに2〜3人いる支店長やマネジャーの幹部層を中心に、それぞれで管理を担うオーナーが抱える課題の解決に動いている。

 そして今後は、オーナーとの接点強化のために分業化を進めていく計画だ。

 地方エリアでは1拠点に5、6人。札幌市内では1拠点12、13人を配置するが、入居者対応とオーナー対応とで担当を分けていく。

 北海道という土地柄、面積が広く現地に拠点を持たないと管理業務が機能しないが、コストはかかる。一方で管理拠点の集約化は、スタッフ1人あたりの対応範囲が広がり、質の高い管理が求められる。

 「そのために必要だったのが分業化だ。営業と切り離せる単純業務を洗い出すことで、パートスタッフや正社員、必要な人員体制も見えてくる」(清河社長)

「団体競技」に転換

 役割分担を行い、パートスタッフを含む人材の確保を行う中で、同社が改革するのが人事制度だ。改正後初の人事考課を23年9月に実施し、現在はその運用の定着化に力を注ぐ。

 清河社長は「歩合制を廃止してから10年がたつ。『個人競技』から『団体競技』に変化させていく時期だ。1人が辞めたら売り上げが減るような、一過性で崩れる組織にはしない」と語る。

 これまでは、営業成績が賞与に反映される業績考課だったものを、人事考課に変えた。内勤業務から転勤を伴う総合職までの賞与額の幅を縮め、昇格により給与が上がる仕組みを構築した。

 「男性中心、営業成績重視、企業目線の売り上げ重視の給与・組織体系」から、「女性も活躍、固定給、幅広い雇用体系によるきめ細かな体制」への再構築を目指す。

 評価方針の変化により、管理職の働き方にも効果が表れ始めた。社長に提出する業績報告のための月次レポートが、人事考課の評価材料にもなることで、マネジメントの意識も変わりつつある。

 これまでは、業績の「管理」が主だったが、管理職自らが業績「向上」に向け商材開拓を行う動きも見られるようになったという。

営利8億円目指す

 組織の盤石化を図る同社が中期目標として掲げるのは、27年9月期で売り上げ105億円、営業利益8億円の達成だ。清河社長は「今はまだ仕組みを変えただけ。企業の成長に欠かせない人材育成において、1丁目1番地なのが人事考課。時間をかけて新体制を定着させていく」と冷静に見る。

(2024年1月1・8日17面に掲載)

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