令和6年能登半島地震(以下、能登半島地震)の発生から1カ月になるが、住宅の被害は約3万棟におよび、被災者への住まいの提供が大きな問題として浮かび上がる。被災者に向けた民間の賃貸住宅を活用したみなし仮設住宅、公営住宅、大手による賃貸住宅の無償提供の動きも広がる。
大手が空室無償提供の動き
甚大な被害をもたらした能登半島地震による、住宅への被害は拡大し、約4万9000棟に上る。石川県内の住宅被害は床下浸水など含め3万7130棟にまで広がった(22日午後2時時点)。新潟県では7289棟(22日午後1時時点)、富山県では4430棟(22日午後1時時点)、福井県では111棟(17日午後4時時点)、長野県は10棟(17日午後3時時点)。
家族向け物件満室
避難所生活を送る被災者への住まいの提供が急務だ。避難所生活者は石川県で1万5366人(22日午後2時時点)となった。石川県が被災者へ提供する住居への支援策としては、自宅の修繕費用の補助のほか、民間の賃貸住宅を活用した、みなし仮設住宅(以下、みなし仮設)、建設型の応急仮設住宅(以下、応急住宅)を提供する。応急住宅・みなし仮設の入居期間は原則最大2年間で、賃料は行政が負担する。応急住宅は、20日時点で338戸を建築中。
石川県では、県内の不動産3団体を窓口に、みなし仮設として登録した物件を被災者にあっせんする。公益社団法人石川県宅地建物取引業協会(石川県金沢市)では、913戸を登録(21日時点)。あっせん件数は22日時点で約300戸。公益社団法人全日本不動産協会(東京都千代田区)の石川県本部では18日時点で26戸の物件を登録し、6戸をあっせんした(22日時点)。
公益社団法人全国賃貸住宅経営者協会連合会(以下、ちんたい協会:同)石川県支部によると、全体で約2000戸の物件が提供可能(19日時点)。ただ、ちんたい協会金沢支部の支部長を務めるのうか不動産(石川県金沢市)の苗加充彦社長は「単身世帯向け物件は空いているが、家族で避難している方も多く、ファミリー向け物件の空室は17日時点で、ほぼなくなっている」と話した。