節電要請に活用
スマートホームサービスが、省エネを促す仕組みとして注目を集めている。スマートホームサービスはこれまで、入居者の利便性を高める住宅設備として注目されてきた。一方、エアコンの消し忘れ防止機能や、小まめな温度変更が自動でできることは、エネルギーの省力化にもつながる。最近ではスマートホームサービスを活用して、節電を呼びかけたり、家庭内の電力を「見える化」したりする事例が出てきている。
スマートリモコン「Nature Remo(ネイチャーリモ)」の製造・販売を行うNature(神奈川県横浜市)は、同製品を通して「デマンドレスポンス運用支援サービス」を提供する。デマンドレスポンスとは、電力の供給状況に応じて、利用者が電力消費量を調整する仕組み。これまで電力逼迫(ひっぱく)時には電力事業者が供給量の調整を行っていたが、供給量を把握することで利用者自身が電力使用量を調整する。消費量を調整した利用者は電力事業者から報酬を受け取ることができる。
Nature Remoは家にある家電をスマートフォンから操作できるスマートリモコン。温度・湿度・照度・人感の四つのセンサーを搭載したモデルもあり、利用者のライフスタイルに合わせた家電の自動操作が可能だ。電力事業者は、Nature Remoの専用アプリを通し、事前にデマンドレスポンスに同意した利用者に対して、電力供給量に応じた節電を要請する。24年1月31日時点で、関西電力(大阪市)、大阪ガス(同)などの4社にデマンドレスポンス支援サービスの提供実績がある。
Nature Remoに加えて、戸建て住宅などに取り付けて家庭内の電力を見える化する家庭用エネルギー管理システム(HEMS)である「Nature Remo E」の普及にも注力する。Nature Remo Eは取り付け工事が不要で、電源につなぐだけで取り付けることができるため、既築物件への導入も容易だ。家庭内電力を見える化することで、節電行動を促す。
Nature Remoはこれまでに60万台販売されており、不動産の開発・管理を行うエスリード(同)の投資用マンションに累計1万台導入された。塩出晴海社長は「コントロールが難しい再生可能エネルギーを最大限活用するためには、電力を使う側が使用電力をコントロールすることが重要。Nature RemoとNature Remo Eの両軸で省電力に寄与したい」と話す。
Nature
神奈川県横浜市
塩出晴海社長(40)
(2024年2月12日8面に掲載)