家賃債務保証(以下、家賃保証)最大手の全保連(沖縄県那覇市)が2023年10月に上場した。創業後、7年ほどで拠点と提携する不動産会社を一気に増やし、事業展開を加速。保有契約件数は192万件に上る。これまでの同社の軌跡や、今後の展開について同社の迫幸治社長に聞いた。
23年10月にIPO 市場シェア11%
全保連は、賃貸住宅の家賃保証事業を主軸とする。同社の試算によると、賃貸住宅の家賃保証マーケットは約2000億円。そのうちの11%を同社で占めるとする。
23年10月25日に東証スタンダード市場に上場した。迫社長は「上場は19年ごろから考えていた。それまでは、自由で小回りが利く経営がしたいという思いから上場を考えていなかったが、上場せずに事業を拡大するのに壁があると感じるようになった。大きいのが信用力だった」と話す。
同社のビジネスは、不動産オーナーに対し、信用力のない個人の家賃債務を保証する。社会における、同社自身の信用力をさらに高めていかないと、成長は見込めないと考えた。
「思ったよりも時間がかかり、社員全体にも普段と違う業務が発生して長い5年だった」と迫社長は振り返る。特にガバナンスについて部長クラスの認識を強化し、そこから現場に伝えていく組織の強化・体制づくりに力を注いできた。
「上場により変わったこととして、従業員のモチベーションが高まっていることが挙げられる。従業員が周囲から、(勤め先が上場し)上場企業で働くことができるようになったといった声をかけられるようになったと聞く」(迫社長)。
社会から「見られている」という感覚があり、それに見合う人材になろうとすることでモチベーションアップにつながり、会社の底上げになっていくことにも期待をかける。