木造賃貸住宅の建築において、音の問題はクリアすべき課題の一つだ。軽量気泡コンクリート(ALC)メーカーの旭化成建材(東京都千代田区)、木質建材メーカーのノダ(東京都台東区)、接着剤メーカーのオーシカ(東京都板橋区)は、各社の商品の組み合わせにより開発した木造建築用の遮音工法を提案している。
床材組み合わせ、生活音対策
仕上げ材じか貼り 施工の手間低減
3社が提供するのは、ALC薄形パネル「ユカテック」と、防音フローリング「カナエルC防音45」を、木質床材用接着剤「セレクティUR-145」で貼り合わせた木造遮音工法「SH-AON(シャーオン)」だ。
ユカテックは、旭化成建材が製造・販売するALC薄形パネルを使用した木造建築用の遮音・防火床下地材。子どもが走り回る音のような重量床衝撃音の低減化に優れる。
ユカテックの上に仕上げ材として施工するのが、ノダが提供するカナエルC防音45だ。同製品を施工することで、スプーンを落とした際の金属音のような軽量床衝撃音を低減する。
オーシカのセレクティUR-145を利用することによりユカテックへのじか貼りが可能で、合板を間に挟む場合に比べて施工の手間や材料費を削減することができる。階下への防音対策として多く採用される強化石こうボードを2枚重ねにする方法に比べて軽量で、建材置き場の確保も容易である。
3社が製品を組み合わせるという提案を始めたのは2020年だ。旭化成建材がユカテックの上にじか貼りできるフローリングと接着剤を提供する協業先を探しており、ノダとオーシカが応じた。同工法は、主に賃貸住宅ビルダーによる採用実績がある。増加する木造の賃貸住宅や木造非住宅物件における生活音対策として、24年5月からはSH-AONの名前で本格的にアパートメーカーや工務店への訴求を開始した。