借家契約更新時における有効な更新料額と更新料不払いを理由とする契約解除の可否

【連載】新・法律エクスプレス 第53回

法律・制度改正|2025年03月27日

Q.私が賃貸人をする建物が契約の更新時期を迎えたため、賃借人と更新の合意をしました。私は賃貸借契約書の記載に基づき、更新料(家賃2カ月分)の支払いを求めましたが、賃借人は更新料が高額であるとして更新料を払いません。私は、賃貸借契約を解除できますか?

更新額、賃料の2倍までは妥当 過度の高額、消費者法に抵触も

A.前提として、裁判例(東京地判平成29年9月28日)に照らせば、更新料の不払いがあっても、賃貸借契約は有効に更新されます。

 次に、契約更新時に更新料を支払うという賃貸借契約書の規定が、消費者の利益を一方的に害するとして、消費者契約法に違反するかが問題となります。

 裁判例は、更新料の額が、賃料の額、賃貸借契約が更新される期間に照らし高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り、消費者契約法に違反しないとしています(最判平成23年7月15日)。同判決以降、更新料の高額性を理由に無効と判断した裁判例は見当たらず、何カ月分の更新料であれば無効とされるかは不明確です。

 もっとも、裁判例(東京地判平成26年8月26日など)では、賃貸借期間が1~2年の場合、更新料の金額が月額賃料の2倍程度までであれば、有効と判断される傾向にあります。更新料を規定する場合、月額賃料に照らして過度に高額とならないよう注意することが重要です。

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