不動産のアセットマネジメント(AM)を行うプロフィッツ(東京都千代田区)は、機関投資家や個人オーナーなどから1000億円超の運用を受託。コンセプト型物件を企画し、運用後もAMを受託している。
企画力強みに物件に付加価値
ESG目線で企画 協業で需要に対応
投資家から資金を集めて運用するアセットマネジメント会社であるプロフィッツは、不動産を企画・開発し、運用するファンド事業により会社を成長させてきた。
機関投資家から引き受けるファンドの運用額は総額770億円。企業や個人オーナー向けで総額310億円を運用する。
それだけの資産を任されてきた背景には同社の物件企画力がある。
同社は東京都や神奈川県を商圏に、ホテルや保育園、オフィス、ペット共生型住宅の企画・開発を行う。機関投資家から集めた資金を物件の開発や、既存物件の取得とその後のリノベーションに生かしている。物件完成後のファンドのAMを同社で受託する。
特徴とするのはESG(環境・社会・企業統治)投資の視点を重視した物件づくりだ。例えば、ソーシャルの視点から待機児童問題に対応すべく、保育園を企画。そのほか、都内で供給が足りないといわれるペット共生型賃貸を提供する。
自社開発よりも、既存物件を取得したうえでリノベを施す、もしくは他社開発物件に企画として参加する事例が多く、9割以上を占める。
保育園は35施設、総額250億円、ペット共生型物件ファンドでは計9棟162戸で総額90億円、ホテルでは計5棟167室で総額118億円を運用する。
同社ではこれらの物件の企画・開発にあたり、積極的に他社と業務提携を結ぶ。アセット種別にそれぞれ仕入れ力のある事業者や、運営ノウハウのある事業者などと組む。田中慎一郎社長は「他社と組むことにより、ファンド組成のスピードを上げつつ、より市場の需要に合致した物件をつくり上げてきた」と話す。
同社が企画したホテルの内観
例えばペット共生型住宅では、ペット保険会社大手のアニコムホールディングス(東京都新宿区)と提携。ペット市場やペット飼育者のニーズに関する知見を提供してもらい、より入居者の需要に応えた物件をつくる。
不動産でコンサル 企業の本業を支援
AMで顧客になったオーナーに、不動産を切り口としたコンサルティングも実施している。
例えば、顧客企業が福岡県で拠点を築く際に雇用などの経営的視点と、資産視点での不動産投資戦略をセットで提案した。
福岡県での本社オフィスを、賃貸ではなく物件を取得する計画を立案。物件情報の収集から購入の交渉、不動産管理部門の立ち上げまでサポートした。駅前に立地する築浅の大規模オフィスビルを取得することができ、現地での採用活動にもプラスになったという。
職場環境は、社員の採用や、長期的に勤め続けてもらうためのポイントとなる。好立地で快適な執務環境がそろっているほか、耐震性能や緊急時にサーバーが落ちないといった条件も重要だ。
田中社長は「本業が不動産に関わりがない顧客企業が多い。当社が不動産に関する知見をコンサルティングすることで、企業の本業支援にもつなげている」と話す。
コリビングを展開 外国人を集客
現在、新たに動いているのは二つ。一つ目が福岡市への商圏拡大だ。
一つ目の福岡市への進出について、同社は福岡市のマーケットはまだ伸びる余地が大きいとみている。福岡市が主導する都市再開発誘導事業「天神ビッグバン」の影響で、今後、ビジネス用途のオフィスやホテルのマーケットが形成されていく可能性が高いと考える。
二つ目は、ワークスペース付きシェアハウス、コリビングの展開だ。外国人と日本人が共同で居住可能なコリビングを提携する。
4月には、韓国でコリビングなどを手がける総合不動産会社のHOMES COMPANY(ホームズカンパニー:韓国)と提携した。HOMES COMPANYが持つコリビング運営のノウハウ、外国人入居者の集客力と、プロフィッツが持つシェアオフィス事業のノウハウを合わせ、都内で展開する予定だ。
「2028年までに売上高を現在の4倍にすることを目指す」(田中社長)
プロフィッツ
東京都千代田区
田中慎一郎社長
(野中)
(2025年6月16日20面に掲載)