リスク理解し運用に備え

【連載】賃貸オーナーと賃貸管理会社が知っておくべき「家族信託」とは 第4回

税務・相続|2025年07月09日

誤った設計と運用が招くトラブル

 高齢化が進む中、賃貸オーナーの間でも「家族信託」の活用が広がっています。

 認知症による管理不能リスクに備え、スムーズな経営の継続と相続対策が期待される一方、制度の理解不足や不適切な設計、運用の誤りが深刻なトラブルを引き起こすケースもあります。

 家族信託に取り組む際に賃貸オーナーが直面し得る主な五つのリスクとその対策を解説します。

①意思能力に絡むリスク契約無効や信託破綻の危険

 家族信託の組成には、信託契約を締結する委託者(親)の意思能力が不可欠です。認知症が進行してからでは遅く、意思能力が曖昧な段階で契約を結ぶと、後に「無効」とされる恐れがあります。

 また、受託者(子)の意思能力喪失もリスクです。賃貸経営は継続的な判断が必要であり、受託者が病気や事故で判断力を失えば、管理・運用が停止してしまう恐れがあります。予備的受託者の設定などを検討しておきましょう。

②受託者の権限乱用リスク
「信頼」が裏目に出ることも

 家族信託には成年後見制度のような家庭裁判所の監督もなく、受託者に与えられる権限も大きいため、財産の私的流用や賃貸経営がいいかげんに行われてしまうリスクがあります。

 賃貸収入の着服や不透明な契約行為など、委託者であるオーナー(親)の信頼を逆手に取る行為が行われないとも限りません。

 受託者となる(子)に不安があるようなケースでは、信託監督人や受益者代理人を設け、受託者の行動をチェックできる仕組みを構築することも有効です。

③遺留分侵害や家族間トラブルになるリスク
「見えない相続対策」の危うさ

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