大手賃貸仲介会社S-FIT(エスフィット:東京都港区)の紫原友規社長が語る、賃貸ビジネスの成長の鍵とは
第一歩は居住用賃貸から
デジタル化に着手 契約業務から置換
前回では、なぜ不動産業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)が進まないかについての話をしました。
そもそも、DXの目的とは何か?その一つに「生産性を上げること」があります。現在、世の中では多くの業務がデジタルに置き換わりつつあります。AI(人工知能)の活用も当たり前になってきた今、一人一人の業務をどう効率化し、より付加価値の高い仕事に集中できるかが、大きなテーマです。
では、不動産業界、特に賃貸住宅業界において「どこをデジタルに置き換えられるか?」を改めて考えてみましょう。
賃貸業務は、とにかく煩雑で、業務量が多いのが特徴です。営業、契約、案内、広告入稿、入居者対応、受託契約、入居審査、リーシング活動...。現場のスタッフは常に複数の業務に追われ、属人的な対応も多く、標準化しにくい構造です。
その中で、どこからデジタル化すべきか。もちろん、どの領域にも改善の余地はありますが、まずは「事務作業」から始めるのが現実的です。理由は明確で、手順が定まっており、定型処理が多く、AIやツールでの代替が比較的容易だからです。
広告入稿作業が大変だという声はよく聞きます。しかし、そこには各社の戦略や競争優位性が絡むため、画一的に効率化するのが難しい。そこで今回は競争性が少なく、標準化しやすい「契約業務」を優先的に対象とすることにしました。




