年間1500件以上の賃貸契約に関する相談を受け付ける「賃貸トラブルたすけ隊」を運営するNPO法人消費者たすけ隊(以下、たすけ隊:沖縄県那覇市)と、賃貸仲介を行うリベ大不動産(以下、リベ大:大阪市)は、仲介手数料無料ビジネスを巡って紛争状態となっている。仮に訴訟まで発展すれば、仲介手数料無料ビジネスのスキームの是非が問われる裁判となりそうだ。
ポータル掲載情報の流用争点
たすけ隊は2月21日付けと3月7日付けの2回、リベ大の代理人弁護士から通知書を受領した。たすけ隊は、1月31日にSNSでリベ大が行う仲介手数料無料スキームに言及し、非難した。
リベ大は、ポータルサイトに他社が出稿した物件情報を入居希望者に提供させ、広告費が得られる物件であれば仲介手数料無料で、広告費が得られない場合は賃料の0.3カ月分の仲介手数料で物件を紹介している。
たすけ隊は同スキームを「広告ヌキ行為」として、ポータルサイトの著作権を侵害する違法行為であると主張する。
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その一方、リベ大側は、通知書の中で、ポータルサイトに他社が掲載していた物件の仲介と、物件掲載ページのURL提供を受けたことを認めつつも、同行為は何ら法律に違反するものではないと主張。たすけ隊が行ったツイートの削除と謝罪、損害賠償として100万円の支払いを求めている。
たすけ隊の島袋雅功代表理事は「実際に訴訟を起こされれば、言論封殺目的の訴訟であるため、反訴する。今後もリベ大の動向を発信していく」とコメントした。
リベ大は、「ユーチューブ」などで投資や節約にまつわる情報を提供するインフルエンサー「両@学長」が発起人となり設立した不動産会社。同社は、全国賃貸住宅新聞の取材に対し「回答しかねる」と答えた。代理人を務める、かける法律事務所(大阪市)からは、期日までに回答を得られなかった。
(2023年6月28日追記)
なお、本記事にある2023年1月31日のたすけ隊のSNSでの主張
(2023年4月10日1面に掲載)