戸数に応じたサービス展開 賃貸関連業務、全般的に支援【賃貸管理システム最新動向】

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統計データ|2023年04月17日

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 賃貸管理業務の効率化を実現する賃貸管理システム。ベンダー各社が提供するシステムは、情報の管理にとどまらず、入居者募集や内見、契約に関するデジタルツールと連携し、業務全般を支援するものへと進化を遂げてきた。各社の最新動向を紹介する。

業態別に機能補強 管理受託も支援

 不動産業務システムの開発を手がける日本情報クリエイト(宮崎県都城市)は、1997年3月より賃貸管理システム「賃貸革命」の提供を開始した。オンプレミス型のほか、2012年1月からクラウド型の提供を始めており、22年12月末時点の利用企業数は5054社となる。

 物件・契約情報の管理や家賃の請求・入金・送金管理、建物管理などの標準機能のほか、顧客の業態に合わせたオプションも豊富にそろえている。例えば、仲介も手がける会社には自社ホームページやポータルサイトとの連動設定に加え、顧客管理機能の付与が可能。管理機能を向上させたい会社には、家主・入居者とのコミュニケーションアプリ、会計ソフトとの連動、各種保険や駐車場サービスとの連携を実現する。

日本情報クリエイト 賃貸革命の操作画面

見やすさにこだわった賃貸革命の操作画面(日本情報クリエイト)

 賃貸業務の中でも特に重要な家賃管理においては、家主・入居者ごとの細かな入送金ルールが設定できる。不動産会社が使用する帳票類の作成については、0.1mm単位でのレイアウト調整や計算式の反映などカスタマイズ性を高めた。

 導入費用は管理戸数や導入台数により変動するが、初期費用無料、月額7000円(税別)から利用可能となる。22年には営業拠点と人員を大幅に拡充。対面による営業提案、導入後の定着支援を重視し、全国30カ所の営業拠点、約120人の人員体制を構築している。

 賃貸革命のほか、物件情報の公開と電子入居申し込みの受け付けができる「不動産BB」、ホームページ制作ソフト「Web Manager Pro3(ウェブマネージャープロスリー)」、「電子契約サービス」を展開。いずれも賃貸革命のデータベースと連携する。

 23年3月28日には、不動産テック企業のStudio LOC(スタジオエルオーシー:東京都台東区)と業務提携を行い、不動産会社向けサービスの共同開発に着手。日本情報クリエイトが持つ不動産ビッグデータや開発中のAI賃料査定エンジンと、Studio LOCのサービスを組み合わせ、管理会社の管理受託営業を支援していく。

管理業務を網羅 オプション充実

 ビジュアルリサーチ(東京都港区)が提供する賃貸管理システムは、オンプレミス型の「i-SP」とクラウド型の「SP-Ⅱ」だ。

 i-SPは09年4月にリリースし、利用企業数は約1000社。SP-Ⅱは19年7月より提供しており、OEM(相手先ブランドによる生産)供給を含めて約3000社が利用する。

 i-SPは、台帳管理、契約管理、請求・入金、問い合わせ・修繕対応の履歴管理など、管理業務に必要な機能を網羅する。財務会計ソフトへの連動も可能だ。標準帳票は150種類以上をそろえる。

ビジュアルリサーチ SP-Ⅱの画面

家賃の入送金機能も持つSP-Ⅱ(ビジュアルリサーチ)

 オプション機能が充実している点も特徴だ。仲介会社がサイト上で管理物件の空室情報を確認し、広告図面などの出力や電子入居申し込みができる機能を用意。そのほか、家主向けの各種報告書類を電子化する機能、建物巡回や退去立会時の業務を電子化して効率性を高めるアプリも提供する。電子契約にも対応済みで、家賃債務保証会社、保険会社、ライフライン関連会社とのデータ連携も予定している(一部リリース済み)。

 個社ごとのカスタマイズにも対応するが、バージョンアップによる機能追加やアップデートを継続的に行うことで、標準のパッケージ機能で賃貸管理業務を十分カバーできるものとなる。初期費用は約100万円、月額保守料として2万円(いずれも税別)から提供する。

 クラウド型のSP-Ⅱは、オーナー・建物・入居者情報の管理、新規・更新契約と解約業務、家賃の請求・入金・オーナー送金までを管理する機能を持つ。登録戸数に応じた料金設定で導入しやすく、管理戸数が数百戸程度の会社や、管理システムを導入していない会社に選ばれている。随時バージョンアップを実施しており、今後はオプション機能も充実させていく。料金は初期費用が10万円、月額費用は1万5000円(いずれも税別)からとなる。

スマートキー連携 内見を円滑化

 いえらぶGROUP(グループ:東京都新宿区)が12年1月から提供する賃貸管理システム「いえらぶCLOUD(クラウド)」は、全国1万2000社の不動産会社で導入されている。

 同システムは売買・賃貸仲介と賃貸管理業務に対応。仲介業務では、間取り図作成機能、AIを活用した物件情報入力や30以上あるポータルサイトへの物件情報コンバート機能のほか、不動産会社へ問い合わせをした顧客を追客する顧客管理機能もある。

 管理業務では、登録した物件情報を基に事業者間流通サイト「いえらぶBB」と連携し、仲介会社へ空室情報を一斉配信することも可能だ。オンライン上での物件空室確認から内見予約、入居申し込み、電子契約までをカバー。基幹システムとのリアルタイムな情報の連動により、不動産会社が物件情報を重複して入力するなどの二度手間を避け、効率化を図ることができる。

いえらぶGROUP いえらぶCLOUDの管理画面

いえらぶCLOUDの管理画面(いえらぶGROUP)

 22年5月の電子契約の解禁後、不動産会社で契約の電子化が推進された。その中で宅地建物取引業法に沿って、重要事項説明(重説)の後に契約締結をするという業務フローに合わせたシステム設計を行い、住戸に付帯する駐車場を含めた契約の締結も可能となった。システムは不動産会社の要望を基に週に1回の頻度でアップデートされ、電子帳簿保存法やインボイス(適格請求書)制度などの法改正にも対応済みだ。

 22年6月には、スマートロックを開発・販売するビットキー(東京都中央区)とシステム連携を開始。セルフ内見時にスマートロックを解錠するワンタイムパスワードの発行も可能になった。

 21年11月に設立した駐車場のオンライン契約サービスを手がける、いえらぶパーク(東京都新宿区)とシステム連携も行った。23年1月には業務代行のBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービスを提供する、らくなげ(同)と資本業務提携し、3月には不動産会社専門のSNS集客や動画制作を行う、いえらぶクリエイターズ(同)を設立。グループを通じて不動産会社の業務支援を行っている。

 いえらぶCLOUDの導入と月額費用は、利用する機能の組み合わせにより異なる。

契約まで一括対応 内覧関連も準備

 アットホーム(東京都大田区)が16年5月から提供しているクラウド型の「賃貸管理システム」では、管理会社の業務に合わせて三つのプランを用意している。

 賃貸管理ソフトを初めて導入検討する会社に推奨しているプランが「台帳プラン」だ。オーナーや入居者、建物、取引事業者など、これまで紙で管理していた情報をシステム上に集約・整理するための基本機能を備えている。物件ごとの募集条件の変更や問い合わせ内容の記録も可能。不動産業務総合支援サイト「ATBB(アットビービー)」との連携も標準装備している。

 「契約管理プラン」には、台帳プランの機能に加えて各種帳票の作成機能が追加された。契約書や重要事項説明書、更新・解約に関する書類、原状回復時の計算、請求書などの作成が簡単に行えるようになった。50種類の帳票の出力も可能だ。

 管理業務に必要な機能を充実させた最上位プランとなるのが「家賃管理プラン」だ。銀行の入出金データの取り込み機能や総合振込の依頼データ作成機能を標準搭載。入出金管理まで行いたい管理会社の利用が多い。

アットホーム 賃貸管理システム 家賃管理プランの画面

請求情報などが管理できる家賃管理プラン(アットホーム)

 アットホームでは、各種管理業務を支援する「スマートソリューション」を展開しており、賃貸管理システムと連携させている。物件確認に自動音声で対応する「スマート物確」や電子入居申し込みサービスの「スマート申込」、電子契約サービス「スマート契約」などだ。賃貸管理システムによる情報管理、ATBBによる募集情報の公開、スマートソリューションでの内覧や契約への対応で、賃貸管理業務を総合的にサポートする。

 今後はATBBを基盤とした、内覧の申し込みに関するやりとりを円滑にする「スマート案内予約」の提供を予定している。内覧希望者の情報や内覧申込書、仲介会社の名刺情報、物件の鍵情報などをオンラインで管理でき、不動産会社の業務負担やコストの削減に貢献していく。

業務効率化を加速 5月にも提供開始

 不動産取引を円滑にする各種システムを提供してきたイタンジ(東京都港区)は、5月にも賃貸管理システムの提供を開始する。名称は「ITANDI(イタンジ)管理クラウド」。物件情報の管理、ポータルサイトへの出稿、入金の自動消し込みやオーナーへの送金、各種帳票類の発行など、管理業務を一括して効率化できるシステムを目指す。

 イタンジはオンラインで内見の予約管理ができる「内見予約くん」や電子入居申し込みサービス「申込受付くん」、不動産賃貸取引に特化した電子契約システム「電子契約くん」などを以前より展開している。業者間流通システム「ITANDI BB」や顧客管理・追客システム「nomad cloud(ノマドクラウド)」を含め、入居者募集から契約・退去、工事発注までの業務の効率化を実現してきた。

 新たに提供するITANDI管理クラウドは、各業務に特化した既存サービスすべてと連携できることが最大の特徴だ。システム開発を担当する中村友拓氏は「当社は仲介会社、家賃債務保証会社、施工事業者とコミュニケーションを築いてきた。各種サービスとセットで利用することで、導入メリットを最大限に感じてもらえる」と話す。

イタンジ ITANDI管理クラウドの画面

ITANDI管理クラウドは既存サービスすべてと連携する(イタンジ)

 料金は企業規模やプランによって異なる。機能がシンプルなプランでは月額1万円前後で提供予定。22年9月に子会社化した賃貸管理システム開発のダンゴネット(東京都国分寺市)と連携し、導入後のサポートも行う。

システム入れ替え 子会社でサポート

 東証スタンダード市場に上場するいい生活(東京都港区)が手がける賃貸管理システムは、物件情報と顧客情報をベースに、仲介業務向けの「いい生活売買クラウド」と「いい生活賃貸クラウド」、管理業務向けに「いい生活賃貸管理クラウド」の主に三つの領域に分かれている。

いい生活 業務ごとにわかりやすく区分された管理画面

業務ごとにわかりやすく区分された管理画面(いい生活)

 22年10月にサービスのリブランディングを実施し名称を変更。同年3月末時点で、全国の不動産会社1457社4406店舗で利用されている。クラウドでソフトウエアを提供する「SaaS(サース)」利用のユーザーアカウント数は賃貸領域で2万を超える。

 いい生活賃貸クラウドでは、物件情報の登録からポータルサイトへの広告掲載、反響取り込み、追客までを支援。事業者間流通サイト「いい生活Square(スクエア)」ではウェブ上の部屋探しから内見や入居申し込み、入居開始までの業務をカバーする。

 いい生活賃貸管理クラウドでは入居申し込みから入居中の対応、退去後の物件再募集までの業務をカバーし、電子契約サービスとも連携。入居者と家主との連絡ツールや家賃支払いなどで利用できるアプリもある。

 物件や顧客情報は、クラウド上の一つのプラットフォームでリアルタイムで更新される。帳票なども法改正のたびに自動で修正され、不動産会社の業務効率化に寄与する。アカウントが無制限で発行できること、業務フローや役職に応じた柔軟な権限設定のほか、細やかな業務の進捗(しんちょく)管理やリマインド機能が好評だ。

 基幹システムの入れ替えの際は、物件情報の入力代行などを手がける子会社のリアルテック・コンサルティング(同)のサービスを利用しながら基幹システムの並行稼働を行うことで、新システムへのスムーズな移行や運用が可能となる。管理戸数の規模にもよるが、3~6カ月ほどが入れ替えの目安の期間だ。

 導入時の初期費用と月額の費用は、利用する機能や管理戸数に応じて異なる。

利用者の声を反映

簡潔で直感操作可能

 新聞販売店向けの業務支援システムを手がけるユニコム(埼玉県入間市)は、不動産会社向け賃貸管理システム「Simple Up(シンプルアップ) 賃貸管理システム」を開発した。

 これまでのシステム開発の経験を生かし、マニュアルを参照しなくとも直感で操作可能な賃貸管理システムをコンセプトに、2021年1月から提供を開始。主に契約と入金管理業務に絞った管理システムとして、管理戸数が20から2000戸規模の不動産会社をターゲットにサービスを展開している。

ユニコム Simple Up 賃貸管理システムの操作画面

Simple Up 賃貸管理システムの操作画面

 利用できる機能は、賃貸借契約の更新管理、契約書類作成、賃料などの入金管理や家主への月次収支報告の4種類。管理戸数が増え業務が煩雑になり、「エクセル」上での管理だけではミスが起こりがちになってきた不動産会社の利用を想定している。

 使いやすさを追求するため、実際に利用する不動産会社との商談時に自社のエンジニアを同席させ、使用感や要望などの不動産会社の生の声を聞いた。現在利用中の管理システムが機能過多で、使いこなせていない不動産会社の利用も見込む。

 利用料金は、初期費用は10万9780円。年間の一括払いと月額払いがあり、管理件数が最少の利用プランで月額5478円から(いずれも税込み)となる。

収支予測機能を搭載

中小向けクラウドシステム

 不動産オーナー向けサービスを展開するヤモリ(東京都港区)が2月6日に提供を開始したのが、クラウド型賃貸管理システム「管理会社のヤモリ」だ。

 管理物件・入居者情報の一元管理、入出金管理、物件ごとの収支データの可視化、月次収支明細の自動作成、オーナーへの報告などの機能を搭載。30年間の収支シミュレーション機能もあり、予測結果の共有リンクを発行することで投資家向けの提案資料としても活用できる。

ヤモリ 管理会社のヤモリ 収支サマリー画面のイメージ

収支サマリー画面のイメージ

 中小の地場管理会社の利用を想定しており、初期費用および基本機能は無料で提供する。入金データの取り込みと入金自動消し込み機能が付いたプランは有料で提供しており、月額5500円(税込み)。物件情報や入居者情報はエクセルから一括でインポートできる。

 ヤモリが独自に運営するポータルサイトに販売物件を無料で掲載できる機能もあり、ヤモリのサービス会員となる約1万人の個人投資家に向けて物件情報を発信することが可能になる。

 藤澤正太郎社長は「オーナーと不動産会社を結び付けることで、中古物件の売買取引の活性化に貢献したい」と話す。

ヤモリ 藤澤正太郎社長の写真

ヤモリ
東京都港区
藤澤正太郎社長(35)

 

(2023年4月17日8・9面に掲載)

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