東京ガス(東京都港区)グループで、不動産事業を行う東京ガス不動産(同)は、不動産賃貸事業の拡大と並行して、海外事業やアセットマネジメント事業も推進。持続可能なまちづくりに貢献する不動産への投資方針を掲げる。穴水孝社長に実績や賃貸住宅事業、今後の展開について聞いた。
創業70年、賃貸住宅1689戸に拡大
年商536億円 主軸は賃貸事業
東京ガス不動産は、5月に創業70周年を迎えた。不動産の賃貸事業を安定収益としつつ、開発、まちづくりに加え、アセットマネジメント(以下、AM)にまで事業の領域を広げる。
2022年度の単体の売上高にあたる営業収益は536億6900万円で21年度比2.3%の増収だった。経常利益はほぼ横ばいの143億5300万円。売り上げの9割ほどを家賃収入と土地の賃貸収入が占める。そのうち、54%は外部への賃貸、46%は東京ガスやその関係会社からの賃料収入だ。
主軸の賃貸事業では物件の運営数を拡大する。大規模ビルの「msb Tamachi(ムスブタマチ)田町ステーションタワー N」の稼働により、21年度には20年度比で100億円近い増収につながり、利益も大幅に増加。オフィス、商業施設や賃貸住宅の物件数を拡大することで、売り上げ、利益ともに堅調に伸長する。
穴水社長は「東京ガスグループが所有する不動産を段階的に当社に移管し、20年4月に移管が完了した。昔から長期保有している不動産を1都3県(東京、神奈川、埼玉、千葉)に多く持っている。これを最大限に利活用していくことは、当社の大きな課題。グループとしてビジネスモデルの変更や、拠点の再編を機に出てきた資産を当社が活用、開発し、外部収益につなげていく」と話す。
中期経営計画で「安心・快適・環境との調和を提供する、ESG(環境・社会・企業統治)型不動産開発の推進」を方針に掲げ、事業に取り組む。
100戸超の物件企画 共有部に再エネ
同社は賃貸住宅事業も強化する。23年7月には2棟125戸を新たに取得したことを発表した。所有する賃貸住宅は30棟1689戸に拡大。独自ブランドの「LATIERRA(ラティエラ)シリーズ」は28棟で、そのうち、15棟はグループの土地活用案件、13棟は新規取得の物件だ。