条例改正案に貸主の義務規定盛り込む
東京都では、建物が危険薬物の製造・販売や振り込め詐欺等の温床にならないよう、貸主が契約書に特約を盛り込むことになりそうだ。
東京都は、「安全・安心まちづくり条例」の改正案を6月に行われる定例の都議会に提出する。
可決されれば条例の施行は9月1日を予定している。
条例改正案には、新たに「危険薬物の濫用の根絶」と「特殊詐欺の根絶」が追加され、建物の貸主の責務として、契約時に借り主に対し危険薬物の販売等および特殊詐欺で建物を使用しないよう確約させること、もし使用した場合は契約を解除する旨を定めることが盛り込まれている。
また、所有物件がこれらに使われていることを貸主が知った場合、契約を解除し建物の明け渡しを申し入れることが規定されている。
危険薬物の販売や特殊詐欺の使用を禁ずる確約は、契約書とは別の確約書を作成するか、契約書に盛り込むかのいずれかで対処する。
契約解除は、契約書に新たな規定として入れる。
これらの責務は「建物提供者の努力義務」として設定。都の青少年・治安対策本部総合対策部安全・安心まちづくり課によると、実施しなかった場合、貸主に罰則が設けられるということはないが「義務として遂行するよう努める」ことが求められるという。
危険薬物に関しての義務規定は、これまでいくつかの自治体で定められたケースがあるが、特殊詐欺に関して盛り込まれるのは全国で初めて。
都内では昨年、特殊詐欺による被害額が80億円に上り、条例の改正で犯罪の温床を作らないよう入り口で防止することを目指す。
5月19日には、都と警視庁、東京都宅建協会、全日本不動産協会東京都支部で協定を結び、これらの義務を遂行するよう宅建業者に呼び掛けていく。