生活保護支給額削減で家主に痛手

法律・制度|2015年06月23日

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44万世帯に退去の可能性

入居者流出防止で家賃値下げの動き


生活保護受給者を受け入れているオーナー・管理会社にとって、大きな決断を迫られる施策が、7月1日から開始される。
生活保護の住宅扶助の基準が見直され、支給額が減額される。

問題なのは、減額によって、現在住んでいる住宅の家賃が、住宅扶助額を超える入居者が大量に発生することだ。
厚生労働省によると、現在、161万世帯ある生活保護受給世帯のうち44万世帯にこの可能性があるという。
高齢や障害、通院などの理由で、転居によって生活に支障をきたす可能性がある場合は、例外措置として現行基準をそのまま適用することができる。
そうでない場合は、賃料が住宅扶助額を上回ると転居指導の対象となる。
つまり、積極的に受け入れを行っている物件ほど、退去リスクが高くなるわけだ。
生活保護者の入居する物件の多くは、築年数が古いため、退去後に新たな入居者を確保するのは困難だと言わざるを得ない。
予防策として考えられるのは、家賃の値下げで、今いる入居者の流出を防ぐことだが、収益性の低下は避けられない。

基準額はこれまで、地域物価や特性などを踏まえて評価した「級地」と、「世帯人数(1人か2人以上)」によって算定されていた。
7月以降は既存2項目が細分化され、さらに、「床面積」の要素が新たに加えられる。
部屋の広さに応じて基準額が決定されることで、狭小スペースに何人もの生活保護者を住まわせ、限度額の家賃を不当に得るいわゆる「貧困ビジネス」の抑制には、一定の効果が期待される。

減額幅は地域により異なるが、例えば、東京都内の一部地域に住む単身世帯では、扶助額がこれまでの5万3700円から4万5000円にまで引き下げられることになる。
今年度は、経過措置などもあるため、減額規模は30億円にとどまるが、今後3年間をかけて190億円が削減される方針になっている。

今回の施策でもっとも大きなダメージを受けることになるのは、生活保護受給者ではなく、実は、退去や家賃減額のリスクにさらされることになる家主だ。
生活保護者は言ってみれば国が家賃を保証している有料入居者のため、できることなら退去は避けたい。
となれば、家賃を値下げせざるをえず、生活保護の削減が、回り回って家主に転嫁されることになる。

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