公益財団法人日本賃貸住宅管理協会(以下、日管協:東京都千代田区)は1月24日、2020年から提供を開始した日管協標準「居住用建物賃貸借契約書(法人版)」について、125社の会員企業からの利用意向があると発表した。同契約書は、日管協の社宅代行サービス事業者協議会が、契約書の内容確認業務を効率化する目的で策定したものだ。
会員企業に利用促し業務効率化目指す
同契約書の目的は、社宅代行会社を通じて法人借り主と賃貸借契約を結ぶ場合に用いる契約書のフォーマットを統一することで、記載内容を確認する手間を省くことだ。業界を問わず、人材確保が困難な状況で企業は社員の福利厚生を充実させたいと考え、借り上げ社宅を活用する動きが中小企業にも広がっている。多くの企業が4月に人事異動を行うため、転居は1~3月に偏ってしまう。社宅代行会社では短期スタッフを雇用し繁忙期に対応してきたが、限られた日数での転居をサポートするためには、賃貸借契約にかかわる手続き業務の円滑化が必要だ。同一の契約書が普及すれば、社宅代行会社だけでなく、管理・仲介会社も確認の手間が省け業界全体での業務効率が期待できる。
日管協で同協議会の担当理事を務める三好不動産(福岡市)の三好修社長は「将来的には書類を電子化するなどさらに契約業務が円滑になるように改良していきたい。これは第一歩にすぎないが、ゆくゆくは同契約書に対応できない管理物件は社宅代行会社からの送客が難しくなってしまうことも考慮して、業界発展のため積極的に活用してほしい」と呼び掛けている。日管協の社宅事業者協議会にとって、同契約書の普及は悲願だという。「本来競合会社である社宅会社が協力し、全国の商慣習を調べたうえで実用性を考え策定した」と同協議会の会長を務めるリロケーション・ジャパン(東京都新宿区)の栗山直能社長は説明する。日管協では19年11月に開催した『社宅サミット』で20年1月から同契約書の運用を開始すると発表。19年12月13日から会員の管理仲介会社に利用意向を尋ねるアンケートを取った。利用意向を示した不動産会社は同協会のウェブサイトで社名が開示されている。