【実態調査】リフォーム事業って実際いくら稼げるの?何人体制が普通?①

駅前管理システム, マーケッティングセンター, 明豊プロパティーズ

その他|2020年12月08日

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 賃貸管理で発生する関連業務の一つが修繕だ。管理会社は退去後の原状回復工事や壁紙の張り替えなどを行い、管理物件の競争力を維持・強化する。ただし、修繕業務の体制や力の入れ具合はさまざま。今回は管理戸数1万5000戸超/5000戸/4000戸台の駅前管理システム、マーケッティングセンター、明豊プロパティーズの3社を紹介する。

駅前管理システム、約600棟、全棟検査を実施

建物メンテナンスの体制強化

 福岡県地場大手・駅前不動産(福岡県久留米市)のグループ会社で賃貸管理を手掛ける駅前管理システム(同)は、リフォーム事業が単体売上高の20%を占め、50%の賃貸管理事業に次ぐ2番手の位置づけとなる。

 管理戸数は1万6451戸で、リフォーム案件は管理業に付随して発生する。そのため宇野嘉宣社長は「あくまで管理事業の枝葉となる事業」という認識を持つ。

 原状回復工事から大規模修繕まで含めた年間の工事件数は約5000件。工事内容によって元請けか外注かが異なる。単体としては建設業免許を取得していないためリノベーションや大規模修繕工事は外注し、協力会社やグループ会社が元請けとなっている。

 駅前グループ全体の従業員数は400人。そのうち管理事業を担う同社には80人が所属し、リフォーム事業には30人の人員を割く。

 リフォームと関連し、近年は2年ほど前から建物メンテナンスの積極提案を実施。年間で40件弱を受注している。

 2020年からは、築年数別に分類して約600棟の全棟検査を実施。巡回清掃業者に現地訪問時に建物点検も依頼し、修繕が必要な箇所の写真撮影なども行ってもらう。後日同社の営業担当がオーナーに提案する流れだ。提案に専門性が必要となるため、20年から営業推進課を創設。リノベーションや大規模修繕などの高額工事の営業提案に特化した部署となっている。

 「巡回時に一緒に現場をチェックすることで事前に家主に知らせることができる」(宇野社長)

 

マーケッティングセンター、仲介スタッフがリフォーム受託

現場のリーシング経験生かす

 管理戸数5000戸のマーケッティングセンター(福島市)は、リフォーム事業の売り上げが全体売上高(非開示)の35%を占め、40%の賃貸仲介事業に次ぐ2番目の重要事業となる。

マーケッティングセンター 基本情報・管理・仲介・リフォーム情報まとめ

 同社は、福島市を中心に4店舗を構える。管理エリアは、福島市、伊達市、二本松市、本宮市の県北一帯。全従業員数は34人で、リフォーム事業に関わる従業員は仲介部門との兼任となり22人。現場担当や提案、事務などの業種に正式な区別はなく全員で担当する。

 年間件数約700件の原状回復工事をはじめ、設備工事、リフォームは全て外注対応となる。管理物件をエリアごとに分けており、4つの店舗にひも付けて管理しているため、仲介店舗スタッフがリフォーム受託を担当する流れだ。客付けを行う仲介営業スタッフが管理物件の特徴を特に把握しているため、リフォーム・リノベーションの提案がスムーズになる。

 追分裕太社長は、高い入居率の維持が使命と考え、「リノベーションを積極的に提案していき空室対策につなげたい」とリフォーム事業に注力する姿勢を見せた。

マーケッティングセンター 追分裕太社長の写真

マーケッティングセンター
福島市
追分裕太社長(37)

 

 

明豊プロパティーズ、リフォームは売上高の1割未満

管理物件の退去時などに対応

 東京23区を中心に、収益不動産開発・販売を行う明豊エンタープライズ(東京都目黒区)の連結子会社で賃貸管理を手掛ける明豊プロパティーズ(同)では、管理物件にかかわるリフォームも行っている。

 単体売上高に占めるリフォームの構成比率は1割未満と多くない。「今後伸ばしていきたいが、積極提案というよりは管理業の一部。管理物件の修繕にしっかり対応することが目的」と大山勝巳取締役は語る。

 2020年7月期の単体売上高は25億8000万円。構成比では、1位がサブリースの賃料収入を含む賃貸管理で約60%を占める。次に新築の請負工事が25%、流通が10%前後、管理物件のリフォーム工事は5%程度にとどまる。

明豊プロパティーズ 基本情報・管理・仲介・リフォーム情報まとめ

 現在の管理戸数は約4200戸。サブリースが20%、残り80%が管理受託だ。管理物件の75%が都内に集中している。

 原状回復や小規模の修繕は外注で行い、外壁工事や漏水、屋上防水などの建物メンテナンスは元請けで受注。年間の工事件数は未集計だが、管理物件の月間解約が70件前後であることを踏まえると、小修繕から大規模修繕すべて含めて管理戸数の25%程度の件数ではないかと同社は推測する。

ミハスの内観写真

同社が手掛ける新築アパート『MIJAS(ミハス)』の一例

 リフォーム工事事業を伸ばしたい気持ちはあるが、現状ではオーナーへの積極提案は行っていない。理由を「工事売り上げを伸ばす目的で修繕提案を行う事に違和感を覚える。本当にオーナー目線なのかを考える必要がある」(大山取締役)と語る。

(12月7日4面に掲載)

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