コロナ禍の賃貸市場への影響は?エリアルポ~大阪編・後編~

ツインホーム, ウィルハウス

企業|2021年07月08日

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 大阪府は観光地が多く近年インバウンド需要でにぎわい、また、企業の本社・支社も多いことから法人による借り上げ社宅のニーズも大きいマーケットだ。だが、コロナ下の渡航制限により、観光客の来阪がなくなったり、転勤の動きが鈍化した。大阪の不動産市場は今、どのような状況なのか。地場で管理や売買・賃貸仲介を行う不動産会社らに取材し、現況を聞いた。

民泊の住宅転用増え賃料押し下げ

ツインホーム、再販事業が停滞 不動産が高止まり

 管理戸数3000戸のツインホーム(大阪市)では、現在収益不動産の再販事業が停滞している。オリンピック需要で高騰した不動産が、コロナ禍により高騰したまま高止まりしてしまい、仕入れが難しい状況にあるという。

 売上高は5~7億円で推移し、賃貸仲介で約40%、賃貸管理で約30%程度を占める。

 同社が買い取るのは1000万~3億円の収益物件や戸建て賃貸住宅などが中心だ。大阪府内にある物件が9割を占める。

 同社では2019年12月に再販事業用に不動産を買い取り、20年1月に売却して以降、取引を行っていないという。例年では年5~6件程度の買い取り、売却を行っていた。

 オリンピック東京開催の決定により、13年ごろより不動産が高騰傾向にあったという。

 また、高騰した価格はオリンピック目前のタイミングで価格競争が発生し、若干の値下がりが起こるのではと見込んでいた。だがコロナ禍によるオリンピック延期で価格が高騰したまま停滞してしまっているという。

 上野博史社長は「現在の不動産の価格は利回り5%程度のものが多く、仕入れをするには最悪のタイミング。せめて利回り8%程度の不動産でないと利益の回収が難しい。そのため再販事業のための仕入れは当面ストップになる」と話す。

 今後は市況に左右されにくいストック事業を伸ばすため、管理戸数の伸長に注力していくという。

 

ウィルハウス、インバウンド減でテナント退去増

家賃上昇傾向に歯止め

 管理戸数5140戸のウィルハウス(大阪府堺市)では、観光地においてインバウンドが見込めなくなったことでテナントの空室が目立つようになったという。

 同社の売上高(非開示)のうち、賃貸仲介が50%、賃貸管理が40%、その他事業が10%を占めている。

 同社は賃貸住宅の他、テナントの管理・仲介も行っており、管理するテナント数は30戸。その中でも道頓堀などの観光地では、コロナ下でインバウンドが見込めなくなったことにより家賃が支払えなくなり、2021年4月頃より空室が見られるようになった。

 それまで大阪府では19年に百舌鳥・古市古墳群が世界遺産に採択されたり、大阪万博などの大型イベントの開催が決定するなど、インバウンドだけではなく国内からの観光客も見込んでいた。

 また、それに伴い観光地である道頓堀や難波周辺に位置するテナントの家賃も上昇傾向にあったという。しかし、コロナ下における渡航制限により、家賃の上昇傾向に歯止めがかかった。渡航制限や外出自粛を境に観光客が来阪しなくなったことからテナントの売り上げが激減。退去を余儀なくされる事業者が増えたという。

 「今後渡航制限が解除されたとしても、店がないのでは売り上げの見込みも立たない。当社管理のテナントだけではなく、エリア全体としてテナントを呼び戻していく必要がある」(伊良原勉社長)

ウィルハウス 伊良原勉社長の写真

ウィルハウス
大阪府堺市
伊良原勉社長(49)

 

 

コロナ下でも満室経営

非対面で連絡取りあいやりとりスムーズに

 『がんばる家主の会』の会長を務める松浦昭オーナー(大阪府堺市) は、2020年から21年にかけてのコロナ下で、退去に至るほどの大きな影響はなかったという。

 松浦オーナーは全28戸の居住用物件と、テナントを3戸所有している。居住用物件は満室経営を実現できており、大阪メトロ千日前線「南巽」駅から徒歩5分に位置している。テナントは大阪市生野区にあり、飲食店、美容室、学習塾が入居しているという。

物件の内観写真

松浦オーナーの所有する物件の専有部。利便性・意匠性高い設備導入が入居促進につながる

 コロナ禍の影響だが、居住用物件、テナントともに退去が発生しなかった。20年5~6月に飲食店から「家賃を半額にしてほしい」という申し出があったが、松浦オーナーはこれを快諾。その後は他二つのテナントを含めて家賃補助を受けたこともあり、退去には至らなかった。このときに家賃を半額にした分は、今後も飲食店に請求するつもりはないという。

 松浦オーナーは、「入居者がピンチのときに無理に請求をするのではなく、許容することで入居者へ安心感を持ってもらえるため、結果的に長期入居につながる」と話す。

 また居住用物件に関しては、退去や家賃減額の相談などもなかったという。ただ、コロナ禍前には週に1回は物件を訪れ、入居者との交流を図っていたが、感染予防のため20年5月ごろから訪問をストップした。

 その代わりに連絡の主体を電話やLINEなどの非対面でのやりとりに移し入居者との交流を絶やさないよう工夫している。入居者から何か相談がある場合は、松浦オーナーの携帯電話に直接連絡がいくため、コロナ禍前と遜色なくスムーズなコミュニケーションが取れているという。

松浦昭オーナーの写真

松浦昭オーナー(74)
大阪府堺市

 

(7月5日7面に掲載)

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