賃貸住宅市場とは ~データで読み解く市場構造と課題~
統計データ|2026年07月16日
市場の主役は、家主と賃貸管理会社

賃貸住宅市場とは、賃貸住宅を所有する不動産オーナー(家主)と、彼らから賃貸住宅の管理や仲介を任される不動産会社、さらに、その実務を支えるサービス提供会社や建築・リフォーム会社などによって形成された市場を指します。
賃貸住宅は、土地所有者が負担する土地の固定資産税や、所有者が死亡したときに発生する相続税の、節税手段として建てられるケースが多いのが実態です。賃貸住宅を建てた場合、その土地と建物の固定資産税や相続税の評価額が低くなるため、地域の需要に関係なく、節税目的で多くの賃貸住宅が建築されてきました。その結果として、国内人口が減少傾向にあるにもかかわらず、一部のエリアで賃貸住宅の需給バランスが崩れ、入居率の低下や空室が社会的な課題になっています。
2025年の貸家着工数、5%減の32万4991戸
国土交通省発表の「建築着工統計調査」によれば、2025年に着工した住宅の総数は24年度に比べ6.5%減の74万667戸となり、24年度の79万2195戸より5万1528戸少ない結果となりました。内訳は、貸家は32万4991戸で同43.9%、分譲住宅が20万8169戸で構成比28.1%、持ち家が20万1285戸で同27.2%、給与住宅は6222戸で同0.8%です。24年と比較しすべての住宅種別で減少となり、貸家は1万7101戸(5.0%)減少しました。

新築着工数は相続税制の改正に影響受けやすい
賃貸住宅の着工数は、相続税制度の改正にも大きく影響を受けます。景気の影響が色濃く反映される持ち家や分譲住宅と大きく異なる部分です。2015年4月の相続税改正では、基礎控除が4割引き下げられ増税となりました。この時期、ハウスメーカーによる「相続税対策」セミナーが多数行われることになりました。

経営実務の所在が異なる、自主管理と管理委託
不動産オーナーは、新しい入居者の獲得、家賃の回収、入居者からの陳情対応、建物の清掃・点検といった賃貸経営の実務を、有償で引き受ける不動産会社に任せます。上記の業務を賃貸管理といい、賃貸管理を事業として行う不動産会社のことを賃貸管理会社といいます。賃貸住宅市場の中心にいるのは、不動産オーナーと賃貸管理会社だということができます。
民間の賃貸住宅市場を管理形態で分類すると、不動産オーナーが自ら賃貸管理業務にあたる自主管理と、賃貸管理会社に委託されたものとに二分できます。全国賃貸住宅新聞が30年以上続ける調査によると、2025年時点の民間賃貸住宅の数は1946万1700戸あり、そのうち24.9%にあたる484万戸が不動産オーナーによる自主管理、75.1%にあたる1462万戸が賃貸管理会社によって有償管理されています。
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賃貸住宅管理業法の成立とサブリース契約への規制
管理委託された賃貸住宅の数は増加傾向にあり、市場における賃貸管理会社の役割も拡大しています。それを象徴するのが、2020年6月に成立した「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」、いわゆる賃貸住宅管理業法です。これにより、2021年6月、賃貸管理会社を所管する国土交通省に対する登録制度が創設されました。登録される管理会社の対象には、有償だけでなく無償で管理を行ってきた管理会社も含まれました。
不動産オーナーと賃貸管理会社が交わす契約の中には、「マスターリース契約」という、管理会社に経営の権限を多く移管する形態のものがあります。マスターリース契約を巡る不動産オーナーと賃貸管理会社のトラブルは、近年社会問題としてマスコミで取り上げられる機会が増えました。賃貸住宅管理業法には、サブリース契約に関する項目についても記述されました。その内容はマスターリースする不動産会社を規制するもので、1戸のサブリース契約から適用の対象となりました。違反者に対しては業務停止命令や罰金などの措置がとられます。
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木造アパートの新築供給、2014年以降鉄筋造を超える
次に、建物構造から賃貸住宅を分類してみましょう。
2014年度から、木造の着工数が鉄筋コンクリート造を上回っています。木造の比率が高いということは、1棟あたりの賃貸住宅の大きさが、縮小していることを意味します。理由として考えられるのは、日本銀行の金融緩和政策により、融資が受けやすくなり、サラリーマン向けに販売される投資用アパートが増えたことが考えられます。長年、賃貸住宅を供給するのは、相続対策で建てる土地所有者によるものが大半でした。しかし、近年は、土地を持たない事業経営者やサラリーマン向けに、投資目的で賃貸住宅を販売する不動産会社による物件が増加し、市場全体のバランスに影響を与えるようになっています。

賃貸住宅の空き家443万戸、全体の49%
人口は減少しているのに、住まいの供給が増え続けた結果、日本では空き家が増加し続け、新たな社会問題として扱われるようになりました。総務省統計局が5年ごとに実施している「住宅・土地統計調査」によると、2023年時点で、すべての住居における空き家の数は900万2000戸と過去最多となり、空き家率も13.8%と過去最高でした。18年に比べ51万3000戸増加し、93年から23年までの30年間で約2倍となっています。
このうち、賃貸用の空き家戸数は443万6000戸で全体の49%となり、18年から10万9000戸増加しました。
2015年以降、増加スピードは鈍化

空き家について、世間が注目するようになった2014年の住宅・土地統計調査では、空き家数が800万戸を超え、空き家率も13.5%となりました。これを受け、政府は15年に「空き家措置法」を施行し、老朽化した空き家を放置し自治体の要請に応じず措置しなかった場合、自治体の判断で強制的に空き家を解体できるようにしました。
空き家というと戸建てのイメージもありますが、約半数を賃貸住宅が占めます。賃貸住宅の場合、経営管理者がいるため放置されにくいはずですが、対策が必要な状況です。
空き家がもっとも多いのは東京都
都道府県別で空き家数が多いのは、東京都です。2023年度の住宅・土地統計調査から都道府県別に賃貸住宅の空き家数を見てみると、62万9000戸と全体の14.2%に上ります。2番目の大阪府は43万6100戸で、この2都府で全体の4分の1を占めています。
(公開日2021-11-24 最新更新日 2026-07-16)
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