【後を引くスルガ不正融資問題】各被害者同盟のその後を独自取材
相場離れした価格で投資家にシェアハウスを購入させその後サブリース会社が破綻した『かぼちゃの馬車』事件を発端とし、明らかになったスルガ銀行の不正融資問題。過度に収益性の低いシェアハウスなどを購入した投資家が被害者団体を設立し、スルガ銀行との交渉により、シェアハウスの債権を譲渡することでスルガ銀行への借り入れを帳消しにする代物弁済を勝ち取った。21年に入ってからは、1棟物のアパートやマンションをスルガ銀行の融資で購入したオーナーらが被害者の団体を設立し、同行に対し交渉を行う動きが出てきている。
「スルガ銀行不正融資等個別被害者協議会(SKK)」:シェアハウスなどの不正融資問題の経営責任を問う団体「スルガ銀行不正融資被害者同盟(SI同盟)」:1棟ものアパートやマンションを高額で購入したオーナー約80人による団体「スルガ銀行・スマートデイズ被害者同盟(SS同盟)」:スルガ銀行のシェアハウス不正融資事件にかかわる物件オーナー257人からなる同盟
今回は、未だ沈静化していないスルガ不正融資問題についての全3団体の進ちょくをまとめる。
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【この記事の内容】
1.日本住宅性能検査協会、不正融資の被害者団体を設立 スルガ銀行のADR対応に不満
2.一棟アパート「適正な元本カット」求める「不当な高値づかみ」に憤り
3.SKK、集団交渉を準備 誠実さに欠けたスルガ銀行の姿勢に不満募らせ
4.新たな被害者団体設立 家主約80人がスルガ銀行に対し不正融資訴える
5.SI被害者同盟、スルガ銀行前で70人以上がデモ活動 150億円相当の代物弁済を要求
6.SS弁護団 不正シェアハウス問題、全面解決 代物弁済交渉、勝因は「白兵戦」
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NPO法人日本住宅性能検査協会(東京都中央区)は4月、スルガ銀行(静岡県沼津市)にシェアハウスなどの不正融資問題の経営責任を問う新団体「スルガ銀行不正融資等個別被害者協議会(SKK)」を設立した。
2018年春先に明るみに出たスルガ銀行の不正融資問題をめぐっては、過度に収益性の低いシェアハウスなどを購入した投資家が、ADR(裁判外紛争処理)の制度を使い、19年夏ごろからスルガ銀行に金利減免や元本カットを交渉していた。しかし進展がスルガ銀行の都合で半年以上も滞っているとして、投資家やADRをサポートする複数の不動産業界団体が対応改善を求め、被害者団体を立ち上げた。
新団体の代表は、日本住宅性能検査協会で理事長を務めている大谷昭二氏が就任。「スルガ銀行の不公平な対応の是正と被害者の情報共有を目指す」(大谷代表)と語った。
協議会のメンバーに加わる不動産投資家は77人で、半数超がシェアハウスの所有者だ。一部で1棟アパート所有者もいる。
今年3月に、「スルガ銀行・スマートデイズ被害弁護団」(河合弘之団長)が代物弁済の大筋合意をスルガ銀行と交わした発表を受けて、大谷昭二代表は「不動産ADRよりも団体交渉が優先された。不動産ADRでの交渉に関しては、始めてから半年以上、未だにスルガ銀行から連絡がない。誠実な対応を求めている」と不満を述べる。
新団体に加わっている不動産投資家は、代物弁済を求めておらず、所有物件の運営継続を希望しているという。不正融資・不適切営業で不利益を被った分、スルガ銀行に金利減免・元本カットを求めている。投資家の中には土地のみを保有している人や建築途中の人、運営中の人とさまざまなケースがある。各メンバーの物件状況などを記した調査報告書をつくり、これからスルガ銀行側に渡すという。
