一部の不動産テックの経営者が「不動産業界は古い体質で、DX(デジタルトランスフォーメーション)が進まない」などと、揶揄(やゆ)するがそれは間違いである。今回は、賃貸業界をマクロな視点で捉えて、現状を冷静に解説する。
「紙とファクスで遅れている」と語るステレオタイプな論調
私が、多少なりとも「賃貸業界に詳しいそうですね」と、一般のマスコミに取材されると必ず言われる一言がある。「賃貸の業界は、紙とファクスが中心で、ITやDXとはほど遠く、とても遅れた業界ですよね」といった、よくある先入観である。一般紙の記者さんがあまり 個別の業界に詳しくないのは当然であるが、昨今では、この不動産業界でビジネスをしている、いわゆる不動産テックの経営者も、「この業界の体質は古くてレガシーだ」と公言している。本当にそうだろうか。