リーシング協議会発足の背景について
管理・仲介業|2023年09月05日
公益財団法人日本賃貸住宅管理協会が8月、リーシング環境の整備を目的とした賃貸管理リーシング推進事業者協議会(以下、リーシング協議会)を発足しました。設立総会では、会長を務めるハウスコムの田村穂会長が「現時点で明確な線引きがされていない賃貸仲介と賃貸管理の業務範囲の見直しを進める」と活動目的を発表しました。
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何故、賃貸仲介と賃貸管理の業務範囲を見直す必要があるのでしょうか。あるいは、これまで明確な線引きがなされなかったのでしょうか。理由を解説するとともに、仲介会社が抱える課題についても触れていきます。
【目次】
・賃貸仲介・賃貸管理の業務領域
・仲介会社が抱える課題
・線引きするメリット
賃貸仲介・賃貸管理の業務領域
入居者対応における賃貸仲介・賃貸管理の業務領域を大まかに分けてみます。賃貸仲介は反響獲得から接客、契約、鍵渡しまで。入居以降の、入金確認、滞納者への対応、クレーム対応、退去立会は、賃貸管理の範囲となっています。
賃貸住宅では、入居者の属性は変化するものの、賃貸仲介・賃貸管理が行う業務は基本的には変わりません。図のようなサイクルで賃貸事業は常に循環しています。
仲介会社が抱える課題
ただ現実として、この業務領域通りに分担されていないことが問題となっています。例えば、入居者から設備や隣人の騒音に関するクレームが仲介会社に入る場合があります。これは、賃貸仲介・賃貸管理の仕組みを入居者が知らない事と、入居する際に仲介会社とは接点を持っていても、管理会社と接する機会がない事によって起こります。
クレーム連絡を受けた仲介会社は、対応に手を取られます。本来、入居後のサポートは管理会社が請け負う業務領域ですが、入居者から連絡を受けた際に対応を拒否する仲介会社は多くありません。なし崩し的に業務領域を飛び越えて、入居後の対応も結局仲介会社が行う結果となっています。
そのため、賃貸仲介・賃貸管理の業務領域を線引きする必要があります。リーシング協議会が作成を進めているガイドラインが策定されれば、入居者から仲介会社へ連絡が入った際でも管理会社へと業務を引き継ぐことが出来るのです。
以上が、リーシング協議会設立の背景と解説となります。