拡大するインターネット無料物件。今後の競争時代について、つなぐネットコミュニケーションズ(東京都千代田区)代表取締役社長の森谷和德氏にインタビューした。
全国平均35.3%。(プリンシプル住まい総研(東京都港区)調べ)と空室対策の定番となった感のあるインターネット無料物件。
そこで、MM総研(東京都港区)の「全戸一括型マンションISPシェア調査」(2023年3月末)で、シェアナンバーワンのつなぐネットコミュニケーションズを取材した。
事業の始まりは分譲への供給から
同社は、通信事業者であるアルテリア・ネットワークス(同)を親会社としているため、通信品質に強みを持っている。スピード・品質を重視しているのだ。
「当社はもともと、8万戸以上の分譲マンションを供給していた丸紅(東京都千代田区)の出資で01年設立。その後、17年3月に丸紅が保有する全株式がアルテリア・ネットワークスに譲渡され、現在は、アルテリア・ネットワークス、三菱地所(東京都千代田区)と東京建物(東京都中央区)が主要株主です。分譲マンションでは、そのブランド品質を維持するため、光回線でのネット環境の構築を行い、高速通信網による品質を重視してきました」と森谷社長は語る。
「分譲品質」というスタートが同社の祖業であり、例えば、「地所を借りて、その後、地所を買う」という入居者に高品質のネット環境を提供するというスタンスが競争優位性である。
サービス統合で多角的に提供
空室対策と家賃維持のために活況な、ネット接続のISP(個人や企業などに対してネットに接続するためのサービスを提供)業者であるが、その得意分野は各社さまざまである。「賃貸新築」の分野でシェアを伸ばす会社もあれば、「既存物件」の分野が得意という会社もある。