築古物件をペット可にする、メリット・デメリット
賃貸経営|2023年11月16日
Q 築30年オーバーの物件を所持しています。一度もリフォームや大規模修繕をしておりませんが、現時点ではまだまだ持たせたいです。しかし、ここ最近は空室に悩んでおり、仲介店からは「ペット可にしてはどうか?」と言われます。築古物件を安易にペット可にするだけ で空室改善するものでしょうか?ペット可物件についてメリット・デメリット取材お願いします。
新型コロナウイルス禍により、ペット共生物件のニーズがここ数年で大きく伸びています。では、質問者のように、築古物件でも空室対策の一手になり得るでしょうか。ペット可物件のメリット・デメリットと、記者の所感をお伝えします。
【ペット可物件のメリット】
①入居者ターゲットの間口が広がる
ペット可物件にすれば、ペットを飼っている入居者層もターゲットになるため、当然間口が広がります。これまでよりも選択肢が増えるため、入居が決まる可能性も高まるでしょう。ただし、留意いただきたいのが、近隣の物件状況です。周辺にペット可物件はありますか。もしあった場合、その物件は満室でしょうか。ペット可物件は多少家賃が高くても入居が決まる傾向にあるので、平均より少し高い程度の家賃帯でも空室が見られる場合は、物件の周辺ではあまりペット可物件が求められていないかもしれません。一度、周辺状況を鑑みることをお勧めします。
②家賃アップにつながる可能性もある
前述のとおり、ペット可物件に住みたい層は多少家賃が高くても入居する傾向にあるので、家賃アップが見込めます。ただし、これも周辺にペット可物件があるかを確認したほうがいいでしょう。周辺にない場合は、供給数が少ないので家賃を少し上げても入居が決まる可能性があります。周辺にある場合は、その物件の家賃と比較しながら検討したほうがよさそうです。
【ペット可物件のデメリット】
①既存の入居者とのトラブルにつながる
空室対策として途中からペット可物件にする場合のデメリットが、既存入居者とのトラブルです。これまでの入居者はペットが住んでいない物件として入居しているため、その中にはペットアレルギーや騒音などに敏感な入居者もいます。そうした既存の入居者からのクレームになったり、退去につながったりする場合があるので、途中からペット可にする場合はトラブルが起こる可能性が高いです。
②原状回復費用が高くなる
ペット可物件にした場合、原状回復費用が高くなってしまいます。臭いや引っかき傷など、ペット向けの改修や清掃が必要になるためです。敷金で賄えれば問題ないですが、それ以上の金額になった場合、貸主の負担となるケースもあります。
【今回のご相談に関して】
質問内容に関する回答は以上となります。ここからは、物件状況を鑑みたうえでの記者の所感となります。ご参考にしていただければ幸いです。
まず、築30年以上の物件で、一度も改修を行っていないとのことですが、かなり物件の老朽化が進んでいるものと考えられます。しかるべきタイミングで修繕を行わず、それが原因で入居者が被害を受けた場合、オーナーの過失となります。その場合、損害賠償義務が発生するため、お持ちの物件は現状、リスクの高い状態と言えるでしょう。まずは修繕することをおすすめします。
またそのうえで、築古物件をペット可にしても、一時的に入居は決まるかもしれませんが、そのメリットは長くは続かないと感じます。なぜなら、昨今は新築物件でペット共生型住宅の供給ラッシュとなっており、競合物件が今後増えていくと予想されるからです。また、前述のとおり、ペット可物件にはデメリットも多いです。それよりも、例えば築古物件ならば家具・家電付きにするなど、物件の価値を上げることに重きを置いたほうが、空室対策につながりやすいかと思います。ご質問いただき、ありがとうございました。